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ミドル世代の「ニコ動アレルギー」を解消します

2014年9月10日(水)

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 私は、15年ほどヒットチャート分析の連載を手がけていますが、特にここ数年「ニコニコ動画(ニコ動)」など動画サイト発アーティストが急増しているなと感じています。多い時には、月に2~3のアーティストが週間アルバムランキングでTOP10入りするほど、当たり前のように上位入りしています。

 ご存じのように、動画サイト発の音楽が大きく注目されたのは“初音ミク”を中心とした音声合成ソフト「VOCALOID」の出現がきっかけで、これにより自分で歌う事が出来なかった作曲家も手軽にパソコン上で作品を完成させる事が出来るようになりました。

 そこで、今回は、ニコニコ動画やYouTubeなど動画サイトでのパフォーマンスが話題の人達の中から、特にミドル世代にオススメしたいアーティストについて語ってみます。…というと「ああ、今回は(今回も?)自分には関係ないや」と思われる方が、日経ビジネスオンラインの読者さんには多そうですよね(笑)。

 実は、私自身「今は、こういう曲が若い方から支持されているのだな、すごい才人が続々と現れるものだなぁ」と“感心”することが多い一方で、 “感動”した動画発アーティストはさほどいませんでした。いえ、今でもライブハウスでもCD音源でも好きなアーティストや楽曲にどんどん出会っては、年甲斐もなく(笑)感動しまくっていますので、決して高齢となり新たな音楽に対するトキメキが薄れてしまったのではありません(無論、好きな仕事を続けていられることで、日頃のストレスが殆どない状態で過ごしている事も大きいかもしれません。この場を借りて、家族や仕事仲間、そして音楽ビジネスを成立させて下さっている方々に御礼申し上げます)。

 以前の自分を含め中高年の方で、動画発アーティストにある種のアレルギーを持ってしまうのは、それまでの音楽と異なる特長がいくつもあるからだと思います。

なぜおじさん世代は動画発の音楽が苦手か?

 まず、第一に、甲高い歌声の人が多いこと。

 電子音の初音ミクは勿論のこと、ここ数年上位入りしたGeroや伊東歌詞太郎、天月-あまつき-といった男性ボーカリストも、みんな本当に歌が上手くてロック系の楽曲に合うような躍動的な声ですが、昭和の歌い手のように芳醇な歌声や、平成のR&Bシンガーのような艶っぽさを感じる人は多くはありません。ということは、リアル発でもT.M.RevolutionやGACKT、Acid Black Cerryなどが好きな人には、動画発のそういった男性ボーカルにハマる可能性が高そうです。

 次に、曲については、高速なリズムで歌詞が詰め込まれ、次から次へと異なる曲調へと展開していく楽曲が実に多く見られます。

 また、実際に聴いてみると、複雑なメロディー構成となったものが本当に多くて驚きます。ミドル世代が慣れ親しんだヒット曲は「Aメロ」「Bメロ」「サビ」、といった構成が多いわけですが、動画発のヒット曲は、ひとつの楽曲に6種類のパートがあっても驚けません。どんな難しい楽曲でも、初音ミクが歌いこなせてしまうということも、そういった楽曲の制作に拍車をかけたのではないでしょうか。

 動画発アーティストとしてデビューし、現在ではヒットメーカーとして多方面で活躍しているヒャダインこと前山田健一が、「30秒以内にユーザーを驚かせるような仕掛けをしないと、飽きられて動画を閉じられてしまう」と以前取材した時に語っていました。だからこそ、彼の曲は10代・20代から大いに支持されるのだと思います。

 歌詞の密度の高さ、構成・メロディの複雑さ。これらがミドル世代にどう受け止められるかといいますと、“ガチャガチャした音楽”となります。動画発のヒット曲をこう表現する中高年に何人もお会いしました。こういう方々はこの手の音楽自体に嫌気がさしています。

コメント3

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「ミドル世代の「ニコ動アレルギー」を解消します」の著者

つのはず誠

つのはず誠(つのはず・まこと)

音楽チャートアナリスト

京都大学大学院理学研究科から三菱化学に入社。97年に趣味を仕事に活かそうと音楽系広告代理店に転職、05年10月に独立しT2U音楽研究所を設立、音楽市場分析、企画CDの監修、選曲、記事執筆を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授