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STAP細胞が呼び起こすITベンチャー事件

思い込みと誇張が生む混乱と魑魅魍魎

2014年9月8日(月)

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 小保方氏のSTAP200回成功、「自家蛍光」か――。9月1日付の日本経済新聞電子版の記事の見出しである。曰く、理化学研究所によるSTAP細胞の検証実験では「22回実験して半数以下で細胞の塊らしきものが見えた」。緑色や赤色の蛍光が見られたが、それは「細胞が死ぬ時にみられる『自家蛍光』に似た現象」という。つまり、「200回作製に成功した」とされたのは自家蛍光で、「STAP細胞はできていなかった可能性が高まった」と報じている。

 「STAP事件」についてはまだ結論が出ておらず、その実態は分からないが、この記事を見て思い出したのは、筆者が10数年前に関与したITベンチャーC社の「事件」のことだ。

経歴が一人歩き

 残念なことに、人が学歴や経歴だけで信用されるというケースが少なくない。C社の創業者A氏は、東大工学部卒。しかも、世界的なIT企業I社のW研究所の上席研究員の経歴を持つ。そのA氏が、I社を退職した後、一種のコミュニケーションツールの開発を行う会社C社を立ち上げた。

 そのツールとは、簡単に言ってしまえば、ビデオ会議をしながら、PowerPoint、Word、Excelなどの文書をシェアできるシステムだ。「会社を立ち上げよう」という呼びかけに対し、彼の経歴を信用する人達が集まった。STAP事件の小保方氏も博士号を持ちハーバード大学留学という経歴を持っている。

 集まった経営幹部に対し、創業者は、このソフトの「プロトタイプは完成している。あとは、詳細の詰めと商品化だけ」と言っていた。また、売り込みに際しては「アメリカB社での実施例」を披露していた。その通りだとすると、日本市場向け製品の完成までにそんなに時間はかかならない。間もなく複数のベンチャーキャピタルが億単位の投資を行った。やはり、この創業者の経歴に惹かれてのことである。

「レシピ」は替え玉ソフト

 そのうち、日本の大手企業T社から待望の注文が入った。「アメリカのB社で採用されたソフトなら」と言う。「プロトタイプはできている」ので、あとはT社の注文に合わせてカスタマイズし、ディテールを詰めるだけ。B社の例も参考になるだろう。経営幹部は色めきたった。しかし…。

 皮肉なことに、その直後から問題が表面化した。「できている」はずの「プロトタイプ」が動かないのだ。A氏がやれば動くが、他人がやると全く動かない。A氏は「動かすにはコツがいる」と言う。STAP風に言えば、「レシピがある」ということだ。

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「STAP細胞が呼び起こすITベンチャー事件」の著者

村沢 義久

村沢 義久(むらさわ・よしひさ)

合同会社Xパワー代表、環境経営コンサルタント。

1974年東京大学大学院工学系研究科修了。1979年米スタンフォード大学経営大学院修了。2005年から東京大学サステイナビリティ学連携研究機構特任教授として地球温暖化対策を担当。合同会社Xパワーを立ち上げ代表に就任。2016年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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