2014年上期、さまざまなメディアが「妖怪ウォッチ」の爆発的人気を知らせていた。関連グッズも恐ろしい売れ行きだという。だからどんなランキングでも、妖怪ウォッチの一人勝ちだと思っていた。しかし、アマゾンジャパンの2014年上半期ランキングを見てみると「おもちゃ&ホビー」部門で最も売れたのは「仮面ライダー鎧武(ガイム)」に関連するものだった。確かに、同世代と話していると、妖怪ウォッチよりも仮面ライダーにハマっている子供について聞かされる。
仮面ライダー鎧武とは、石ノ森章太郎さん原作の仮面ライダーシリーズ最新作品(2014年9月時点)で、いわゆる平成仮面ライダーの15作目にあたる。藤岡弘、さん扮する本郷猛が、悪の秘密結社ショッカーに改造される仮面ライダー第1作の放送は1971年だ。途中で中断もしたけれど、そこから40年以上が経つ。私のように親子2世代にわたって見続けているひとも多い。
私たちは1人の”変身する男”が悪に立ち向かう物語を眺め、親からもらったベルトをつけ、そして30年後には自分の子供にベルトを買ってあげる。そして子供たちは今日も、幼稚園で手を振りまわしながら変身と叫ぶ。
ところでこの変身を見ていると面白いことに気づく。仮面ライダーであれ、おなじく石ノ森章太郎さん原作「ゴレンジャー」からはじまるスーパー戦隊シリーズであれ、日本の変身とは超越した力を獲得するためのものだ。その一方で、スーパーマンやスパイダーマンなどの洋モノの主人公は、そもそも持つ力を十分に発揮できるよう変身する。
道具を使って違う自分になる変身と、自分を隠す変身と。もちろん単純に2分割はできず例外もある。ただし、事実として私たちはずっと前者型「変身」に魅了されてきた。
拡張兵器としてのウエアラブル端末
自分自身を拡張し新たな力を得る――。
ここで突然、話はサプライチェーンに移る。
このところ物流や倉庫管理で話題になっているものはウエアラブル端末を利用した作業効率化だ。有名なところでは米ゼネラル・エレクトリック(GE)がThe Industrial Internetの文脈で、ウエアラブルグラスをかけた工場作業者がグラス上の指示にしたがって部品を取ったり補修作業したりする動画を公開したことが挙げられる。そのほか、どうしても両手がふさがってしまう配線工事のような場所では、視覚情報で作業指示を把握できればありがたい。
私はウエアラブルグラスが一般用途に広がるかどうか、やや懐疑的な立場だ。しかし、産業用途なら活用の価値と余地はあると思う(しかしそれにしても不遜ながら、その様子は漫画「ドラゴンボール」に出てくるカウンターそのものだ)。発電所などの危険現場にもノートパソコンは持ち込めない。ここにもウエアラブルグラスが活用できれば、年間10億ドルの業務効率化効果があるのだという。
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