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アバクロの前途は多難

“セレブ風カジュアル”路線からの原点回帰を

2014年10月1日(水)

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 栄枯盛衰は世の常である。どんなに隆盛を極めたものでもいつかは衰退してしまう。「易経」には「亢龍悔いあり」という一文が記されている。亢龍とは天の高みに上りきった龍のこと。天の高み上りきった龍は、あとは下るしかないという意味である。

 最近、アパレル業界で話題となっているのが、アメリカのカジュアルブランド「アバクロンビー&フィッチ」の失速である。「アバクロ」の略称でわが国でも一時期はファンが多かったブランドだが、近ごろはアメリカ本国での人気低下が顕著となっている。

 2010年以降、すでに米国内で220店舗を閉鎖しており、2014年内にはさらに60店舗を閉鎖する計画を打ち出している。さらに先日「衣料品からブランドロゴマークを消す」という驚くべき発表があり、一層の減速感を国内外に印象づけたといえる。

 筆者が愛読しているマックスリー・コーポレーションさんのブログにも8月31日に「アバクロのロゴ削除案に思う事」という記事がアップされている。以下に引用する。

 アバクロが、来春から北米商品において、ロゴを削除する事が伝えられています。(ムースやカモメのアイコンは引き続き使用)ロゴやグラフィックを入れ替えただけで、ベースになるファッションは何も変わらないという安易なビジネスを長年行ってきたつけでしょうか。

(中略)

話はそれましたが、アバクロの場合、ロゴを減少どころか、ほぼ完全に削除案を打ち立て、今後、H&Mやフォーエバー21の様にデザインで勝負!?

 アバクロの衣類には、「Abercrombie&Fitch」というロゴか「A&F」というロゴのどちらかが常に付けられていた。そしてそのロゴが付いた衣服を着ることがステイタスの一種でもあった。しかし、そのステイタス性は近年急速に失われてしまった。

 アバクロが急激に失速した原因はいくつもあるのだろう。単純にブランドの栄枯盛衰である。流行を極めたブランドもいつかは凋落する。それは避けられない。単にそのサイクルに入ったということかもしれない。また、コンサルタントの後藤文俊さんは、細身シルエットの洋服しか展開してこなかったアバクロの姿勢とマイク・ジェフェリーCEOの失言とが相まって「太った人を差別している」という風に受け取られたことが原因の1つだと自身のブログで分析しておられる。

 2009年に鳴り物入りで出店した日本直営店の商況もあまり思わしくない。話題となったのは、2009年の銀座店のオープン当初のみ。シャツをはだけた白人の男性店員、うるさい音楽、暗い照明、きついニオイのフレグランス、とどれを取っても日本人の好む店作りからは遠く離れた演出だった。これらの演出に対して好意的な声を、私が知る範囲内では耳にしたことがない。続いて2010年に、福岡にも出店したが、業績不振だったために現在はアウトレット店へと転換してしまった。

 かつてあれほどファンが多かった日本で、アバクロ直営店が鳴かず飛ばずを続けている理由は、先ほど挙げた日本人好みではない演出のほかに、高すぎる価格設定というものもある。

 2009年に直営店がオープンするまで日本国内では様々な業者による並行輸入品が流通していた。これらの価格は米国現地価格の1.3倍くらいが相場だった。ところが、直営店に並んだ商品の価格は、米国現地価格の1.5倍~2倍程度であった。同じ物なら消費者は間違いなく安い方を買う。多くのファンが、直営店で買うよりも並行輸入品を引き続き買ったというわけだ。日本人の好みに合わせた演出をできない上に、割高な商品を販売していたなら直営店の業績が伸びなくても当然である。

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「アバクロの前途は多難」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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