• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「今でしょ」のルーツは代ゼミにあり

創業者・高宮行男が育てた講師達

2014年10月1日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

代々木駅前は代ゼミの一大拠点だ

 「予備校教師は5者を兼ねなければならない。学者、医者、役者、芸者、そして易者だ」――。

 学校法人高宮学園代々木ゼミナールの創業者・高宮行男(2009年没)は生前、講師に対して事あるごとにこう訓示を垂れた。

 5者とは噛み砕いて言えば、学問を教える立場の「学者」。鬱屈した浪人生の心を支え、癒す「医者」。教室を舞台に見立て、“教師役”を演じる「役者」。時には、艶やかな衣装や芸で魅せ、生徒の羨望の的となる「芸者」。そして志望校に導くアドバイスや“読み“ができる「易者」――のことである。

 1980年代以降の代ゼミの絶頂期を知る古参講師Nは、「うまいこと言うなぁと思った。その言葉通り、先代理事長は、1980年代後半、講師に『役者』や『芸者』を求めた。今では予備校の講師が当たり前のように広告塔になっているが、このタレント講師の発想を生み、業界の常識を変えたのが初代理事長の行男だった」と振り返る。

 近年では「今でしょ!」で一世を風靡している東進ハイスクールの林修らがタレント講師の筆頭格だろう。そのタレント講師の草創期をつくりあげたのは代ゼミの創業者・高宮行男だと言う。3大予備校の違いを表現する時、「生徒の駿台・机の河合・講師の代ゼミ」と称される所以だ。

日本刀を振りかざす講師

 代ゼミにおけるタレント講師の走りが古文講師の土屋博映だ。教壇で演歌を歌い、紙吹雪を舞わせるパフォーマンスが絶大な人気を集めた。「鬱屈し、悶々とした毎日を送る浪人生を元気づけたい」と、「役者」を演じるようになる講師が、土屋の後に相次いだ。それは他の予備校にも波及してゆく。

 この頃、ヤクザ風のファッションで教室に現れて、日本刀を抜くパフォーマンスが話題になった「金ピカ先生」こと佐藤忠志、「マドンナ」で知られた古文の荻野文子、暴走族出身で古文講師の吉野敬介ら、強烈な個性の講師が登場した。

 講師に対して、生徒が「貢ぎ物」を送る光景もしばしば見られた。教壇には冷えたビールや日本酒が並び、女性用の下着まで「献上」されることもあった。「貢ぎ物」が講師の人気度を測る1つのバロメーターになった。

 講師は、“期待”に応えるように受講生の前でビール缶をプシュッ、とやる。そのまま講師による独演会が始まり、90分の授業時間が哲学論議や女性遍歴の話で終わる、ということもよくある光景だった。予備校側や生徒や親もそれを良しとした、おおらかな時代だった。

 折しも1986年から1992年までは、第2次ベビーブーム世代の受験期に差し掛かっていた。受験人口は膨張を続け、同時に大量の浪人生を生み出した。学校基本調査によれば、既卒生の大学・短大志願者数のピークは91年の29万4461人。ちなみに2014年は8万5425人に過ぎない。

コメント3件コメント/レビュー

『生徒のS台、模試のK合、立地のYゼミ』…と呼んでました。名物講師の授業をいくつかモグリましたが、評判ほどでもなかったんで、『講師のYゼミ』ではなく『立地のYゼミ』と。当時のS台は英語のO井・I藤・O島、数学のA山、古文のIづみ、物理のY本など名物講師が多かったこともあるかもしれませんが。(20年前のS台生)(2014/10/01)

「代ゼミ漂流 剥がれた”金ピカ”のメッキ」のバックナンバー

一覧

「「今でしょ」のルーツは代ゼミにあり」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

『生徒のS台、模試のK合、立地のYゼミ』…と呼んでました。名物講師の授業をいくつかモグリましたが、評判ほどでもなかったんで、『講師のYゼミ』ではなく『立地のYゼミ』と。当時のS台は英語のO井・I藤・O島、数学のA山、古文のIづみ、物理のY本など名物講師が多かったこともあるかもしれませんが。(20年前のS台生)(2014/10/01)

例えば医学部受験と言っても東大京大慶應からはじまって各校別の対策が不可欠なのは常識。国立に受かっても私立に落ちるのはザラ、私立は国語社会が不要の英数理だから楽どころか理系オタク相手のもっと高いレベルを要求されることになりかねない。だからセンター試験の結果を見ながら志望校を絞り込んで直前対策を変更するなどの柔軟な戦術に対応できる予備校が実績を上げる。もはや人気講師が大部屋で熱弁を振るうマスプロ授業では対応できないということではないかな。(2014/10/01)

もう10年以上前になりますが、私も浪人時代は代ゼミで過ごしました。古文講師の方にはルノアールでコーヒーをご馳走になりながら受験談義をしたり、小論文講師の方とは講師室で論文テーマを深堀りしたり・・・と、今思い返しても楽しかったですね。(2014/10/01)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面白い取り組みをしている会社と評判になれば、入社希望者が増える。その結果、技能伝承もできるはずだ。

山崎 悦次 山崎金属工業社長