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失われた「日々是決戦」

「講師の代ゼミ」が崩壊した

2014年10月2日(木)

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代ゼミタワー玄関にて。日々是決戦は健在か?

 高宮学園代々木ゼミナールの新本部・代ゼミタワーは、16階の展望フロアを中心に、下層が教室、上層が学生寮になっている。代ゼミがライバル予備校に後れを取っていた「個別教育」の場が、ここ“総本山”の完成後、ようやく整いつつあるように見える。

 かつての代ゼミの象徴、最大700人を収容した大教室はもはや存在せず、数10人程度の小教室や個別指導のブース、VOD形式で授業が受けられるモニタールームに変わった。廊下に座り込んで参考書を読みふけるような、昔の予備校然とした雰囲気はない。

 代ゼミはここに、目玉となる高額商品を用意した。講師が1対1で密着指導してくれる特別なコースだ。例えば「私立医学部オールパックコース」は基本料金が1000万円、「プラチナ個別指導プレミアムコース」は540万円。講習会やオプションがつくと年間の授業料が2000万円に及ぶこともある。

 この商品のターゲットは医師をはじめとする富裕層の子弟だが、受験期を迎えた若いタレントが、人目を忍んで申し込んでくるケースもあるという。

 かつて代ゼミは広く、数多の受験生をすくい取らんとした。そして、その中心には「講師」がいた。だが、この代ゼミタワーにいる限り、昔の代ゼミの姿の影も形も見られない。

代ゼミタワーの少人数教室

ラジオが代ゼミを育てた

 「講師の代ゼミ」。そのキャッチフレーズすら最近、業界では「死語」になりつつあるが、源流を辿れば、「ラジオ」に行き着く。

 1952年から「大学受験ラジオ講座」(文化放送・旧ラジオたんぱ、1999年終了)がスタート。同番組は、教育系出版社の旺文社が1社提供し、代ゼミはそこに講師を派遣していた。

 1970年から80年頃にかけて、伝説の代ゼミ講師、早稲田大学教授の西尾孝、東京理科大教授の辻良平ら錚々たる面々がラジオ講座に登場。当時代ゼミの講師の中には大学教授と掛け持ちするケースがあった。

 ラジオ講座のそもそもの理念は、教育の機会均等の提供であった。地方の学生や親の経済力がない学生でも、タダ同然で学ぶことができる。

 ラジオの場合、映像を頼りにすることなく、音声だけで教えなければならない。それによって講師の講義テクニックもラジオ講座で醸成されていった。集客力を持つタレント講師と、地に足の着いた講師の両輪で、1980年当時、代ゼミは本物の「講師力」を得ていた。

 だが、次第にラジオは時代の遺物になっていく。代ゼミ側もラジオに講師を出講させてもカネは落ちない。それよりむしろ、パフォーマー講師を抱え、テレビのバラエティーで取り上げられるほうが、広告効果が期待できる。

コメント11件コメント/レビュー

大変面白い記事だった。読みながら、ラジオ講座のテーマ音楽を思い出した。そういえば「蛍雪時代」という受験用の雑誌もあった。あの頃は、古き良き時代のような気がする。予備校も変わっていき、また大学も変わっていく。この記事の執筆者には、これからの代ゼミの行く末を、そして、教育の行方も追ってほしい。(2014/10/06)

「代ゼミ漂流 剥がれた”金ピカ”のメッキ」のバックナンバー

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「失われた「日々是決戦」」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

大変面白い記事だった。読みながら、ラジオ講座のテーマ音楽を思い出した。そういえば「蛍雪時代」という受験用の雑誌もあった。あの頃は、古き良き時代のような気がする。予備校も変わっていき、また大学も変わっていく。この記事の執筆者には、これからの代ゼミの行く末を、そして、教育の行方も追ってほしい。(2014/10/06)

「代ゼミ生から、怒りの声や校舎閉鎖撤回を呼びかける嘆願が起きないか」……高校1年生ならともかく来年来るつもりのない浪人生がそんなことするわけがない。この発言をした講師もこれを掲載した記者もピントがずれていると思う。(2014/10/05)

名鉄インが太閤通り側に出来るのはありがたい!(2014/10/04)

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三品 和広 神戸大学教授