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補助金ビジネスの甘いワナ

なぜ彼らは会社を去ったのか

2014年10月10日(金)

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 「1×2×3=6」とか「1+2+3=6」などと書く。小学校の算数のようなこの数式が、なにを意味するかご存じだろうか。

 農林水産省が旗をふる「6次産業化」を示す方程式だ。農業を含め、きびしい状況にある1次産業が、2次産業の加工や、3次産業の販売と一緒になることで「化学反応」を起こし、息を吹き返すことを期待している。

6次産業化は「切り札」になれるのか

 今回の見出しを「甘いワナ」としたのは、農業再生の切り札とされる6次産業化が想像ほど簡単ではないと思っているからだ。兼業農家の意義とその限界について考えた前回と同様、今回も「常識」を疑ってみたいと思う。

 今回、登場するのは、ある大手食品メーカーと、地元ではそれなりに実績のある農業生産法人だ。両者が組んで、野菜を貯蔵し、加工するための大型施設を数年前につくった。6次産業化のパターンのひとつだ。いまでも続いているプロジェクトなので、施設のある場所や企業名はふせることにする。

収量と質を安定させるのが農業の課題

 巨大施設をつくった理由は2つある。農業法人のほうは、天候にふり回されない経営を実現したいと思っていた。例えば、あまりに豊作だと値段が下がるから、作物の一部を畑に捨てることがある。これを処分せず、保管できれば、足りないときに需要にこたえることができる。大型の貯蔵・加工施設があれば、出荷を平準化できるはずだと考えた。

 メーカー側は、中国など輸入作物が不人気になったため、国内で農産物を調達できるルートをほしがっていた。施設が稼働する前に取材したとき、こんな説明を受けた。「『あんたんとこ、まだ中国産使ってるの?』っていう電話が来るんです。国内調達の取り組みはしっかりしていませんでした。いま踏み出さないと、機会を逸してしまいます」。

 事業費はおよそ10億円。大手メーカーが参加するこの事業に、農水省は補助金4億円を大盤振る舞いした。メーカーは5億円強を負担し、農業法人は数千万円を出した。6次産業化を象徴する、官民あげてのプロジェクトになった。

 結論から言おう。食品メーカーと農業法人がこの事業にあてた担当者は、どちらもすでに会社を去った。2年続けて1億円を超す赤字を出し、さらに運営上の混乱もあって会社に居づらくなったのだ。メーカー側は後任をあてた。どうして、そんなことになったのか。

コメント2件コメント/レビュー

これ、農業に限らず、どのようなビジネスでも同じことですよね。「事業というのは本来、漸進的にノウハウを蓄積し、それがある「いき値」を突破したときに、つぎの飛躍を目指すべきもの」というのは、まったくその通りだと思います。わが社はサービス業ですが、甘いマーケティングをちょっとやって、需要があるはずだから新しいサービスを始めてみました、ということが多すぎてあきれてます(当然ほとんど失敗)青い目のおバカ役員一同に読ませてやりたい・・・(2014/10/10)

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「補助金ビジネスの甘いワナ」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

これ、農業に限らず、どのようなビジネスでも同じことですよね。「事業というのは本来、漸進的にノウハウを蓄積し、それがある「いき値」を突破したときに、つぎの飛躍を目指すべきもの」というのは、まったくその通りだと思います。わが社はサービス業ですが、甘いマーケティングをちょっとやって、需要があるはずだから新しいサービスを始めてみました、ということが多すぎてあきれてます(当然ほとんど失敗)青い目のおバカ役員一同に読ませてやりたい・・・(2014/10/10)

昔から面々と続く無駄遣いです。(2014/10/10)

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