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新常識は「丘の上よりタワーの上」

郊外庭付き一戸建は「上がり」ではない

2014年10月21日(火)

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 私が2年前、過去20年のマンションデータ1万8000棟を分析した新書『マンションは10年で買い替えなさい』を出版した直後、ある友人A氏から相談がきた。「マンションは分かった。では戸建の資産性はどうなのか」と。A氏が検討していたのは、恵比寿駅で山手線内側の戸建だった。土地面積は少し小さいが、土地と建物を合わせた価格は5500万(内訳:土地価格4300万、建物1200万)ということだった。私は即座に「その場所なら戸建でも大丈夫だ」と答えた。

 不動産を購入する場合は「出口(=売却時)」を想定して買うべきというのが私の主張だ。戸建も例外ではない。詳細は後述するが、戸建住宅の建物評価は20年でほぼゼロとされてしまう。建物部分の1200万が20年かけてゼロになると、残る資産は土地4300万である。20年後に土地+建物の総額5500万円のうち約22%がゼロとなる。

戸建は買っちゃダメ?

 マンションデータの分析結果は明確だ。新築マンションはエリアによらず1年経過するごとに坪単価で4万円下落していく。20年経過した時点で坪単価80万下がる計算になる。ざっくりと都心部、準都心、郊外と3地点に分類し、現状の平均坪単価で算出すると、都心部は20年で24%、準都心は34%、郊外は46%下落となる。

都心部のマンション坪単価330万-80万=250万 (24%下落)
準都心のマンション坪単価235万-80万=130万 (34%下落)
郊外のマンション坪単価  175万-80万=95万 (46%下落)

 冒頭の知人のケースは年平均マイナス1%の下落と予想でき、マンションを買うより手堅いと判断した。仮に頭金を500万入れ、5000万の住宅ローン(借入期間35年、金利1%、ボーナス支払いなし)を借りた場合、10年目には残債が3900万を切り、20年後には2500万程度となる。資産より住宅ローンの残債(借金)のほうが少なくなれば、含み益が出る状態になるため、損はしない。よって、「その場所なら大丈夫」と回答したのである。

不動産は出口を想定して買え

 私が、出口を考慮して不動産を購入したほうがいいと話すと、「ずっとそこに住むから、資産性は考えないで買うよ。」と答える人がいる。

 20年後も30年後も同じ場所に住むのであればいいが、長い人生、思い通りに事は運ばないことは多々ある。転勤、子供の教育、親の介護、様々な事情で、その場所以外に住みたくなる、もしくはその場所に住み続けられない事情が出てくるのが人生である。

 1973年に朝日新聞に掲載された住宅すごろくの上がり(ゴール)は「郊外庭付一戸建」であった。その後、人々のライフスタイルは変化し、経済成長は鈍化し、人口減少時代に突入…と環境は一変している。

 掲載から41年が経ち、当時「上がり」を購入した人たちは、高齢者と言われる年齢層となった。住宅ローンの返済は既に終わり、子供が巣立った後、駅からの距離が遠い、坂の上にある自宅までの道中がつらい、自宅の階段の上り下りがキツい、こんなことを理由に挙げ、郊外から都心部へ移住する高齢者は意外に多い。「郊外庭付一戸建」には続きがあったのである。いいタイミングで売却し、移住した人ばかりではなく、郊外の自宅が二束三文でしか売れず、見るに見かねたお子さんが費用を負担して住み替えさせている例もある。

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「新常識は「丘の上よりタワーの上」」の著者

沖有人

沖有人(おき・ゆうじん)

不動産コンサルタント

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、コンサルティング会社、不動産マーケティング会社を経て、1998年、アトラクターズ・ラボ(現スタイルアクト)を設立、代表取締役に就任。/

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官