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ジョブズも憧れた「訪日下位県」の最強コンテンツ

ビジネス訪日客の観光需要発掘にも期待

2014年10月24日(金)

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訪日観光でも広がる地域格差

 下の表は、国内延べ宿泊者数下位8県における外国人延べ宿泊者数を比較したものです。国内で46位の奈良県は、外国人延べ宿泊者数では16万4570人泊で23位につけています。奈良県の場合、国内宿泊者数は少ないものの、法隆寺地域の仏教建造物、古都奈良の文化財、紀伊山地の霊場と参詣道という3つの世界遺産を有し、大阪や京都に近い地の利もあり、外国人客を増やしてきました。

国内観光/訪日観光の延べ宿泊者数の比較
外国人延べ宿泊者数で()内は47都道府県中の順位。
宿泊旅行統計2013年(確定値)、2014年1‐6月期(暫定値)

 神社仏閣で言えば、国内42位の島根県には昨年遷宮に沸き804万人の観光入込客を得た「出雲大社」、43位の福井県には曹洞宗大本山「永平寺」があります。いずれも日本を代表する神社仏閣の一つ、他の神社仏閣と比べて価値や魅力が劣るものではありません。

 地域の観光力を左右する要因は主に3つ。1つは地域資源の価値や魅力、あるいはその評価や認知。もう1つは地の利、周辺の人気観光地の有無や交通の利便性など。最後にそれを動かす地域の人、訪日誘致に取り組む自治体の姿勢や財政状況や規模など。

 地の利で言えば、島根県や福井県は日本海側にあり、不便な地域です。福井県には定期便が発着する空港もありません。とは言え福井県は京都府に隣接し、観光客の42%は関西地区からの入込です。

 例えば同じ関西圏で、高野山(高野町)を有する和歌山県の2013年外国人延べ宿泊者数(和歌山県の集計による)は21万1754人泊。高野山はフランス人など欧米の観光客に人気で、高野町の外国人延べ宿泊者数は5万1840人泊(前年比154%)、県内のシェアは24.5%に及んでいます。

 高野山は2004年、熊野三山などとともに「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されました。2009年には旅行ガイドの「ミシュラン・グリーン・ガイド」で三ツ星を獲得、評価や認知は高まっています。2012年発行の第2版では6ページに渡って高野山を紹介しています。一方、永平寺を含めた福井県の紹介は一文もありません。

 世界一の旅行ガイド本「ロンリープラネット」ではJapan's Top25の7番目に「高野山奥の院」を挙げ、本文でも大きな扱いです。他方、福井県の紹介は1ページにも満たず、ページの下に半分近く余白を残したまま、永平寺、東尋坊のことに軽く触れる程度です。この原因は発信力の問題に尽きるとは思いますが、これではあまりにも価値や魅力と評価が釣り合っていません。

 高野山が1200年の歴史を持つ真言密教の根本道場なら、永平寺は770年以上の歴史を持つ曹洞宗大本山、坐禅修行の根本道場です。今や「禅(Zen)」は日本のみならず世界的に認知されています。禅と深い結びつきがあったスティーブ・ジョブズは一時期、真剣に永平寺での修行を考えたと言われています。

 外国人にとって高野山の魅力は「奥の院」での散策や宿坊への宿泊、朝の勤行などに感じる神秘性だといいます。であれば永平寺も同様に外国人の心を惹きつけるのではないでしょうか。

 今回は訪日観光で下位に沈む福井県、中でも永平寺にフォーカスしてその可能性と課題を考えます。またビジネスパーソン必見の、永平寺での「参籠(1泊2日)」の体験レポートも交えてお送りします。

コメント11件コメント/レビュー

「客寄せパンダではない」に賛成。観光資源としてあえて「客寄せパンダ」にするのならば、外国人に媚びていない古き良き日本の観光地であることや、本物の宗教施設であることを売りにすべき。大昔に陳腐で切り捨てられていった「日本的な家屋」や「里山、広葉樹林」といった風景が現在貴重になっているように、現状維持がすぐに意味を持つようになる。(2014/10/29)

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「ジョブズも憧れた「訪日下位県」の最強コンテンツ」の著者

水津 陽子

水津 陽子(すいづ・ようこ)

合同会社フォーティR&C代表

経営コンサルタント。合同会社フォーティR&C代表。地域資源を活かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「客寄せパンダではない」に賛成。観光資源としてあえて「客寄せパンダ」にするのならば、外国人に媚びていない古き良き日本の観光地であることや、本物の宗教施設であることを売りにすべき。大昔に陳腐で切り捨てられていった「日本的な家屋」や「里山、広葉樹林」といった風景が現在貴重になっているように、現状維持がすぐに意味を持つようになる。(2014/10/29)

とある講演会で京大藤井聡教授が言われていたこと。明治維新頃の都会と、当時は都会ではなかったのに人口が増えて今では都会になったところを地図で表示された。今では人口が減った金沢。一方、増えたところは、ほとんど新幹線の駅があった。インフラの有無が人口を左右するのだ---という。一例として興味深いと思ったものだ。●福井県は、大阪や名古屋から直通在来特急はあるが、それ以外の県域からは来訪しづらい面がある(一度自家用車で東尋坊へ向かったが、案内標識が少なく、初期のカーナビがあってなお迷ってしまった経験がある。)。出雲大社に至っては、大阪からでさえ不便である。福井県知事が新幹線を切望していた理由の一つでもあるが、「観光」が域外からの来訪者に頼る側面を有する以上、アクセス関連のインフラ整備は観光推進との両輪でなければならない。福井に空港が必要とは思わないが、国鉄時代にあったいくつもの特急が廃止されたように、人口減地域へのインフラを地域分社化されたJRに期待するのは限度があるともいえる。やはり国策で幹線部分は構築すべきであろう。幹線以外の支線については、民間鉄道でも需要があればやっていける。大阪から見ても便利とはいえない奈良や高野山でも、関空まで来訪しようと考える国外滞在者からみれば、あと少し民間鉄道に乗るだけで行けるエリアなのだ。(2014/10/29)

福井県に必要なのは、東京からの新幹線ではなく、関空からの直通特急だと思います。(2014/10/25)

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三品 和広 神戸大学教授