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「親韓とか嫌韓なんて関係あらへん」

東レ・日覺社長の「超」現実主義

2014年10月28日(火)

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 今や東レの売上高全体の半分近くを占める海外事業。10月27日号特集「東レ 勝つまでやり切る経営」で紹介したように、危機に直面したマレーシアの現地法人は、欧米アパレルメーカーが集う“情報発信地”として変貌を遂げた。海外の現地法人がそれぞれに自律的な成長を模索するのが、東レの強みになっている。その中でも、繊維やフィルム・樹脂から炭素繊維、水処理膜まで幅広く手掛ける「ミニ東レ」とも言える際立った拠点がある。韓国だ。

 ソウルから高速鉄道と車を乗り継ぎ、3時間余り。韓国の中央部に位置する工業団地の一角に、子会社の東レ尖端素材韓国(TAK)の主力工場が広がる。日覺昭廣社長が「東レの成長を支える最重要拠点」と語る場所だ。

 韓国を代表する電子メーカーであるサムスン電子とLGディスプレーの工場が隣接。東レ尖端素材韓国は地の利を生かし、ここで両社のスマートフォン向け素材を一括生産している。韓国国内での光学フィルムのシェアは35%に迫る勢いだ。

サムスン先代の遺言

日覺社長は韓国を最重要拠点に位置付け、新規投資を惜しまない。(写真:村田 和聡)

 「末代まで東レに足を向けて寝るな」。サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長は、グループ創業者で父親の故李秉喆(イ・ビョンチョル)氏から何度もこう言われた。

 東レとサムスン。両社の関係を紐解けば、1972年まで遡る。

 李秉喆氏はサムスングループの祖業の1つである繊維事業強化のため、同年にポリエステル繊維などを生産する第一合繊を設立した。その際、同社に共同出資した上で、合繊の基本技術や生産設備を提供したのが、東レだった。サムスングループは合繊での成功を足掛かりに、電子や機械、金融などに事業を拡大。韓国最大の財閥にのし上がることができた。いわばそのお膳立てを東レが担ったことになる。

 第一合繊はその後、サムスングループから分離。経営を引き継いだ韓国セハングループが1999年に経営難に陥ると、東レは同社に出資し、合弁会社の東レセハンを設立した。

 当時はアジア通貨危機で韓国経済が打撃を受けた時期だったが、中興の祖である故前田勝之助会長(当時)が「苦しい時期にこそ新規投資すべき」と社内の慎重論を押し切り、最終決断を下した。

社員の4割はサムスン出身者

 その判断の正しさはすぐに証明された。サムスン電子がスマートフォンで成功するのに合わせ、TAKの業績も好転。競合のLGディスプレーからも引き合いが強まり、TAKのIT素材事業は2002年度に67億ウォンだったのが、2013年には50倍の3459億ウォンに急拡大した。

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「「親韓とか嫌韓なんて関係あらへん」」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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