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農地を守るのは牛だ

「補助金依存」脱皮の切り札

2014年11月14日(金)

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 迫り来る耕作放棄の危機をふせぐには、どうしたらいいのだろう。その答えを求め、新しいタイプの様々な経営を紹介してきたが、事態を打開するにはもっと根本的な対策が必要だ。風にそよぐ稲穂の田んぼから、牛が遊ぶ草原へ――。日本の風景を変えるような挑戦がいま求められている。

放棄地で牛が麦を食べる

 11月5日、栃木県南東部の那珂川流域にある瀬尾亮の農場を、農水省や県の職員、研究者など約80人が訪れた。「ここは農地がせまく、典型的な中山間地です。放棄地になるのは当然です」。

放牧について説明する瀬尾亮さん(栃木県茂木町)

 マイクを手に瀬尾が話したように、そこには広大な放棄地が広がっていた。面積は3ヘクタール強。2メートル以上伸びたススキなど様々な雑草が繁茂し、ひとが分け入ることのできる状態ではない。もとはタバコ畑だったが、採算の悪化と高齢化でつくり手がいなくなり、ジャングルのように荒れはてた。

 ところが、瀬尾が立つ一角は様子がちがう。整然と生えそろっているのはライ麦だ。その長方形の畑を、電気のとおった特殊な柵が囲んでいる。

 「ストリップグレージング(制限採食)をやります」。瀬戸がそう言って畑の一辺の電柵をずらし、ライ麦を柵の外に出すと、牛たちがのっそりと近づいて食べ始めた。畑は牛のエサ場なのだ。

 じつは、この畑も以前は雑草が生い茂る放棄地だった。瀬尾は2009年にここに牛を入れ、雑草を食べさせた。ひとにとっては邪魔な雑草でも、牛にはエサになる。そうやって牛が荒れ地をきれいにしたあと、ライ麦や牧草などを植え、引き続き、牛を放牧させている。

 海上自衛官だった瀬尾は2002年に退職して妻の実家にもどり、農業を始めた。山あいという立地をいかし、原木シイタケの栽培をしていたが、先行きを心配し、始めたのが畜産だった。

 そんな瀬尾の挑戦に自治体が注目した。役場や農協から瀬尾のもとに、つぎつぎに放棄地の再生の依頼がくるようになった。いま放牧地は3.6ヘクタール。どれももとは放棄地だ。

荒れはてた放棄地でも牛は開墾できる(栃木県茂木町)

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「農地を守るのは牛だ」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官