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ITエンジニア転職の現実

「作る」から「使う」へのシフトに対応できるか

2014年12月1日(月)

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 ITエンジニアなら、今後のキャリアを考える上で、「転職」を一度も考えないということはまずないのではないだろうか。それはITエンジニアは、ジョブローテーションを前提とした総合職ではなく、ITエンジニアリングを中心とした専門職であるということにも由来する。ITエンジニアは、企業に就職するという考え方ではなく、「ITエンジニア」という職業に就職するという考え方だからである。そこで今回は現在のITエンジニアの転職マーケットの状況について見ていきたい。

エンジニアの人不足、転職の現状

 昨今、特に飲食業界等を中心として人材不足が叫ばれているが、IT業界はかなり以前から常に人不足と言われ続けている業界である。本コラムでも再三指摘しているが、事態は更に深刻な事態となりつつある。2014年9月18日の日経新聞でも「IT分野の派遣『月収100万円』でも集まらず」というような記事(有料会員限定記事)も出ている。

 日本の情報系学科の卒業生数は2010年の時点で1.6万人と、米国の5.9万人の約4分の1程度で、全学年人口当たりの理数情報系学科の卒業生の率でも日本は2.3%と、米国の5.1%から大きく後れを取っている。またIT技術者数は約88万人だが、2020年のIT市場規模は約4.5倍程度に伸びると予想されるため、明らかにIT技術者が不足する事が見えている。詳しくは、第6回産業競争力会議提出資料を参照されたい。

エンジニア人材ニーズの変化

 ITは成長産業のため、以前から人不足と言われ続けていたが、人不足の内容は時代とともに変化してきている。IT技術者不足というと、以前は「設計やマネジメントができる人がいない」という内容が殆どだったが、最近では「まずコードが書けるというのが前提で、ユーザーファーストな考えが出来る人」という方向にシフトして来ている。

 2014年のIT人材白書でも「“作る”から“使う”へ、という大きな流れのなかで、受託開発を行ってきたIT企業は大きな岐路にある」と書かれている。IT企業(SIer)は今後3年の新規/拡大予定の事業内容で従来型の受託開発と挙げる企業は45~55%と多かったのに対し、システムを利用するユーザー企業は受託開発に対するニーズは10~20%と低く需要と供給のギャップが広がっている。

 ユーザー企業は従来型の受託開発ではなくSalesForceのようなSaaS(クラウドサービス)の利用へとシフトしているためである。この事はユーザー企業のSaaS利用率が、2011年から2013 年にかけて 33.7%、44.3%、56%と着実に拡大していることからも読み取れる。

 また、この流れは営業利益率にも表れており、従来型のSIerは、営業利益率が軒並み一桁台なのに対し、海外のソフトウェア中心の企業だとオラクルが売上高2.9兆円、営業利益率36.9%、SAPが売上高1.7兆円、営業利益率34.0%とケタが違っている。

※NTTデータ(売上高1.3兆円、営業利益率6.4%)、日立製作所(売上高1.2兆円、営業利益率4.3%)、NEC(2.5兆円、営業利益率3.7%)、富士通(売上高4.7兆円、営業利益率2.3%)

 クラウドへのシフトや、受託開発のオフショア化などの大局的な流れを受け、ITエンジニアの志向性も変化してきている。先日弊社でITエンジニアを対象に行ったアンケートでも希望する業態について、SIerを望むという回答が17%だったのに対し、自社サービス・製品開発は79%と大きな差が出ている。回答者の就業中の企業の業態はSIer所属が51%、自社サービス・製品開発が40%であり、現在SIerにいるエンジニアも自社サービス、製品開発への転向意欲が高まっていることが見て取れる。

20代、30代のITエンジニアが望む働き方と職場環境についてのアンケート調査結果(IT/WEBエンジニアに特化したプログラミング転職サイト「paiza」の会員273名が対象、2014年8月実施)

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「ITエンジニア転職の現実」の著者

片山 良平

片山 良平(かたやま・りょうへい)

ギノ株式会社 代表取締役社長

2012年にギノを設立、ITエンジニアに実際にプログラムを書いてもらい技術を評価するサービス「paiza」(パイザ)を2013年10月に開始した。ニートや音楽活動をしていたという異色の経歴も。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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