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「世界はグローバル化などしていない」に反論する

データで知る、世界経済を取り巻く環境変化のリアルな姿

2014年11月26日(水)

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 前回は、我々が現在直面しているグローバル化や国際経営といった現実が、歴史的に見てどこまで遡ることができるのかをご紹介しました。今回は、1970年代以降から急速に進展しているいわゆる「グローバリゼーション」の背景には、どういった経営環境の変化が存在するのかを概観してみましょう。

 もちろん、11月18日公開の入山章栄・早稲田大学ビジネススクール准教授のコラムでも紹介されていたように、実は、グローバル化なんて進んでいないという意見や研究も存在しています。しかし本稿では、その是非を問う前に、グローバリゼーションを可能にしたと言われる、いくつかの重要な歴史的要素を理解することから、議論を進めていきましょう。

 まず理解すべきは、1)情報通信とグローバルメディアの成長2)人と物の移動手段の進化3)国際標準の整備とモジュラー化、そして4)国際法規の整備と市場統一、という4つの流れです。これらすべてを踏まえて論じなければ、今、世界で起こっている経済の流れを理解することはできません。

インターネットが世界をつなげたのではない

 よくある勘違いは、グローバル化といえばインターネットの普及を指す、という先入観です。

 インターネット普及の背景には、長年の歴史を経て発達してきた物理的な通信ネットワークの進化があり、その重要性を無視することはできません。

 通信ビジネスは少なくともローマ帝国の郵便制度や、日本の飛脚、はたまた伝書鳩を用いた都市間通信のネットワークまでさかのぼることが可能です。インターネットの直接の源流とも言える電波通信も、19世紀初頭に登場したもので、インターネットはその延長線上にある1つの技術に過ぎません。

 現代、光通信網で世界が物理的にリアルタイムで接続されています。19世紀初頭に生み出された電信は、19世紀中頃にはアメリカ大陸と欧州を接続する海底ケーブルの実用化へと繋がりました。そして戦後1970年代頃から急速に進化した海底通信網が、まさに全世界を物理的につなげたのです。

 下に示した地図は、こうした世界中に張り巡らされている通信網を俯瞰することができるウェブサイトから取得したものです。この図を見れば、世界中の国々が無数の海底ケーブルによって物理的につながっているのが分かります。

 これに通信衛星や移動体通信の技術などが加わり、現代では地球の裏側の人とも、コストを意識せずに映像などを用いた豊かなコミュニケーションが可能です。これにより、各種のメディアを通じて情報が国境を超えて活発に流通しています。ハイビジョンのテレビ会議を日常的に用いて、遠く離れた国の専門家や同僚と議論し、協業してなにか生み出すといったことが、実際に行われています。

2014年11月現在の世界の海底通信ケーブル網

コメント4件コメント/レビュー

国際標準に、ローカル規格がねじ込まれる現状では、同意しかねます。たとえばデスクトップのパソコンでは「ミリねじ」に統一する動きがありましたが、強い抵抗により「インチねじ」が残り、今でも混在しています。日本なら工業製品に尺貫法を使うようなものです。もちろん、伝統分野なら、理解できますが。(2014/11/30)

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「「世界はグローバル化などしていない」に反論する」の著者

琴坂 将広

琴坂 将広(ことさか・まさひろ)

立命館大学国際経営学科准教授

慶応義塾大学環境情報学部卒業。在学時、小売・ITの領域において3社を起業、4年間にわたり経営。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て英オックスフォード大学で博士号取得(経営研究)。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

国際標準に、ローカル規格がねじ込まれる現状では、同意しかねます。たとえばデスクトップのパソコンでは「ミリねじ」に統一する動きがありましたが、強い抵抗により「インチねじ」が残り、今でも混在しています。日本なら工業製品に尺貫法を使うようなものです。もちろん、伝統分野なら、理解できますが。(2014/11/30)

グローバル化とは、地球のあらゆる場所と人が意識するしないを問わずに関わり影響しあうことと考えます。すると、産業革命時代、大航海時代はもちろんのこと、ローマ帝国やアレキサンダー大王、秦の始皇帝の時代にもすでにグローバル化は始まっていたと考えてよいでしょう。問題はその内容と程度が過去20年ほどで格段に発展したことにあります。その中心にはインターネットに代表されるITの進歩と普及があることは間違いありません。世界中でいつでも、どこでも、誰でも瞬時に繋がる(繋がりうる)ことによって、新たな経済・社会・生活環境が出来上がったことが、現代のグローバル化の本質ではないでしょうか。アラブの春は、30年前であれば一国で発生した焼身自殺事件にとどまっていたことでしょう。BRICsが台頭したのも、グローバルに市場が認識されるようになったからに他なりません。筆者は標準化を強調されますが、自分は市場淘汰の影響の方が大きいと見ています。ガラパゴス化による日本企業の退潮はその悪しき証例です。もう一つの、真のグローバル化は、環境負荷、資源・エネルギー、食糧、貧困・格差など、あらゆる国と人が関わる地球規模の問題が顕在化したことにあります。言葉の定義を巡る不毛な論争ではなく、現在世界で起きていることに対して、冷静な洞察が必要と思います。(2014/11/26)

ボケていただいたので、お約束の突っ込みを少々。インターネットとは、IP ルーティングという、論理的な規約であって、通信網がそれ以前から発達してきたとしても、それとは、本質的に異なるものです。90 年代のインターネットバブルで、基幹通信のインフラが IP に特化し、競争が激化することで、通信コストが劇的に低下した点と、距離に対して課金することを半ば意図的に省いたということは、インターネットが与えた影響であると言えるかもしれませんが。人の移動ということで航空機の発達を挙げるなら、90 年代以降の規制緩和による、格安航空券の登場も言及すべきでしょう。社会的には、その方がインパクト大です。ついでに冷戦の終結も。後、USB は、intel が音頭を取った、デファクトスタンダードで、先行していた IEEE1364 (Firewire) よりずっと速く、広く普及したことを知らない人のほうが少ないと思います。国際標準の影響として、引き合いに出すのは、ちょっと恥ずかしい。基本的に、貿易財なんて限られてるのだから、統計を取れば大した割合にならないのは当たり前。20 年かかって、GDP に対する「割合」が2倍になったなんて書くのも、無理矢理感が強いと思います。(2014/11/26)

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