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国も企業もすがった張りぼての神

インフレ期待を本物にする「1%の壁」

2014年12月3日(水)

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 「当初は行き過ぎたインフレを心配していましたが、杞憂に終わりましたね」

 全国約300店のスーパーマーケットのPOS(販売時点情報管理)データから店頭価格を毎日算出する「日経・東大日次物価指数」。指数を開発した東京大学の渡辺努教授はこう話し、肩を落とした。

 物価水準を算出する指数では、総務省が毎月発表する全国消費者物価指数(CPI)が有名だ。だが、CPIでは1週間以内に価格を下げて戻すような「特売」のデータは反映されない。さらに、全体量の把握を重視しており、例えばバターから割安なマーガリンに買い替えるような節約も別々の消費者行動として記録される。東大物価指数はこれらの課題を解決し、「リアルな消費」に近い行動を数値化するのに成功した。

 東大物価指数によると、2013年初頭から徐々にマイナス幅が改善し、数値は上昇傾向を続けてきた。2014年4月の8%への消費増税直後には、対象商品の税込み価格が3.5%台を突破。「増税分を非常にうまく価格転嫁できたという印象を持った」という渡辺教授。当時はむしろインフレの過熱を懸念していた。

物価下落のスパイラル

 だが、その動きはすぐに失速した。下のグラフを見てほしい。スーパー売上高の前年同日比増減を見ると、4月上旬から大きく落ち込み、秋ごろまでマイナス傾向が続いている。それに呼応するように、税込み価格もじりじりと下落。商品が売れないので特売や値下げを繰り返し、全体の商品価格が下がるという負のスパイラルに陥った。

税込み物価水準とスーパーの売上高増減(前年同日比)
税込み物価水準とスーパーの売上高増減(前年同日比)

 1997年の5%への引き上げ時と比較すれば、その違いは顕著だ。増税直後に指数は落ちたが、5月には再びプラスに転じた。同年末から再び大きく落ち込んだが、それはアジア通貨危機や金融ショックの影響が波及したためだった。そうした状況を踏まえれば、足元まで物価低迷が続く2014年は、「失策の烙印」を押された1997年よりひどい状況と言えるだろう。

 その原因はどこにあったのか。渡辺教授は「国も企業も消費者のインフレ期待を過信していた」点を指摘する。

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「国も企業もすがった張りぼての神」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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