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地図にもカーナビにもない路傍の寺

世界遺産の地で起きる「平成の法難」(上)

2014年12月10日(水)

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島根県・沖泊の港から銀が運ばれていった

 その昔、「銀の道」と呼ばれた街道がある。

 世界文化遺産に指定されている石見銀山(島根県)から掘り出された銀を日本海側へと運び出した総延長8.8kmの山間ルートである。

 銀の積み出し港として中世、賑わったのが大田市温泉津沖泊(ゆのつおきどまり)だ。銀の道の最終地点である。沖泊の港はリアス式の入り江となっており、深度もあって波が静かなことから、大型の船の停泊が可能だった。そのため江戸時代には、北前船の寄港地になった。

 かつて沖泊集落には回船問屋が立ち並び、今にその風情を伝えている。現在、最も古い家屋は築300年ほどが経過しているという。

銀で栄えた集落は6人の高齢者だけに

 しかし、集落を貫く銀の道を歩いてみると、その華麗なる時代は夢の跡、という印象だ。家屋の多くは空き家状態であることが分かる。ほぼ原形を留めない土蔵の痕跡も確認できる。

 現在、沖泊集落の住民はわずか5世帯、6人の高齢者のみ。つまり、1世帯を除いて全てが独居老人世帯ということになる。最高齢は97歳だという。このままではいずれ消滅へと向かう運命にある限界集落の典型と言える。

銀の道とは別にある手掘りのトンネルを抜けて沖泊に入る

コメント2件コメント/レビュー

人間は便利なところに集まる習性がある。何らかの壁がなければ、どんどん便利なところに集まっていく。道路や鉄道のインフラを整え、壁をなくしたことで、こういう状態になってしまったのは、ある意味必然と言える。むしろ、無理して維持することこそ無駄ではないだろうか。(2014/12/10)

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「地図にもカーナビにもない路傍の寺」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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人間は便利なところに集まる習性がある。何らかの壁がなければ、どんどん便利なところに集まっていく。道路や鉄道のインフラを整え、壁をなくしたことで、こういう状態になってしまったのは、ある意味必然と言える。むしろ、無理して維持することこそ無駄ではないだろうか。(2014/12/10)

日本國の、にっぽんの良さを壊したのは誰だ!地方創生だ、再生だと見出しと掛け声ばかりで中身がない。営々と築かれた幾多の有形無形の遺産が泣いている。美しい國と言ってみてもコンテンツが名ばかりだったり、空っぽではその本尊、愛でて受け継ぐ術もないというものだ。再び言う―創生も再生でもない、元からあったそのものを守り育てる「決心」であり、基本に立ち戻る「決断」を今、することである。存在したものを、いじり壊しながら、さぁどうしましょうもないものだ。お寺は昔の名刹、路傍の石とも路傍の寺などと呼んでは勿体ない。制度存亡の日本国の登記法・地権利簿と宗教法人非課税法制の大改正・整備だが、行政サイドは國民皆ナンバー制度が整えば位に考えている。今で云うボランテァ活動に似て保持された檀家や氏子と言った良さの伝統に甘えてはいけない。この分野での来た道への回帰と往く道の見定めにしか凛とした日本はないと考えるが如何。(2014/12/10)

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