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もう一歩深く、農業の世界へ

「もう後ろ盾はいらない」

2014年12月12日(金)

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 もう一歩深く、農業の世界へ――。コメの生産と販売を手がける越後ファーム(新潟県阿賀町)の社長の近正宏光が、兼務していた東京・新宿の不動産会社の社長をやめた。「ぼくも、社員にも甘えがあった」。それをふっきるため、農業一本で立っていくことに決めたのだ。

 東京の神田駅の近くの事務所を訪ねると、目に飛び込んできたのが赤ちゃん用のベッドだった。近正が女性社員に「あずける場所に困っているなら、連れてくればいい」と言って置いたものだ。9月末に産声をあげたばかりの“新生”越後ファームの雰囲気を映していた。

不動産会社から独立した越後ファームの近正宏光さん(左)、新しい事務所には赤ちゃん用のベッドが(右):(東京都千代田区の事務所)

楽しいことしか、がんばれない

 これまで、この会社のことは連載で何度か取り上げてきた(4月11日「『1キロ5400円』超高級米のつくり方」)。簡単におさらいすると、都内の不動産会社に勤めていた近正は社長の指示で新潟に農業法人をつくり、稲作を始めた。2006年のことだ。

 役場や農家の集まりでつれなく追い返されるなど、はじめは農地を借りるのに苦労したが、まじめにコメをつくっているうちに地域の農業の担い手になった。農薬と肥料をいっさい使わないなど、ブランド化に努め、百貨店で高級米として売ることに成功した。条件の悪い棚田でがんばっている各地の篤農家のコメも、あわせて売り始めた。

 新規参入の農業者として着実に地歩をかためてきた近正には、もうひとつ別の顔があった。不動産会社のほうの社長にもなったのだ。引き続き実権をにぎるオーナーの前社長が、若く行動力のある近正に、本社ビルの建て替えをふくめ、会社の仕組みを新しくする仕事をまかせたのだった。

 そうしたオーナーの思惑とは裏腹に、近正は農業をやることがどんどん楽しくなっていった。まだ売り先に困っていたころ、シンガポールの日系百貨店で店頭販売をやった。そのとき、現地のひとが試食して「おいしい」と言ってくれた。「素晴らしい仕事だ、農業は」。そう素直に喜ぶことができた。

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「もう一歩深く、農業の世界へ」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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