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なぜ「本当はグローバル化など進んでいない」と言われるのか

2014年12月17日(水)

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 前回は、1970年代以降から急速に進展しているいわゆる「グローバリゼーション」の背景には、どういった経営環境の変化が存在するのかを概観しました。今回は、ではなぜグローバリゼーションは進んでいないという見方があるのかを考えます。

 具体的には、1)制度的・文化的距離、2)世界的な価値連鎖、3)消費と生産の集積、そして4)前提と定義の非合理性、という4つの要因を説明していきます。

グローバル化により、逆に距離を感じる理由

 前回解説したように、いわゆるグローバリゼーションは様々な形で進行しています。しかし、それは逆に、世界が遠いという事実をより強く感じる原因ともなります。

 それは、地域と地域の間には様々な「距離」があり、その距離には、技術革新により急速に小さくなりつつある距離と、技術革新では容易に変わり得ない距離が存在するからです。

 この地域と地域の間に存在する「距離」をどの様に分類するべきかは諸説があります。しかし、経営学を学ぶ大学院MBA課程で最も頻繁に参照されるのは、パンカジ・ゲマワット教授が2001年のハーバード・ビジネス・レビューの記事で提唱した、CAGEフレームワークかと思います。

 ゲマワット教授は、地域と地域の間には、「文化的な距離」、「制度的な距離」、「地理的な距離」、「経済的な距離」の 4つの種類の距離が存在すると主張しました。

 グローバル化により、「地理的な距離」の意味が薄れつつあるのは事実です。「経済的な距離」も新興国の成長により小さくなろうとしています。しかし、歴史的、組織的、個人的つながりを含む様な「制度的な距離」と、人々の常識、宗教、言語などの要素を含む「文化的な距離」は、叫ばれるほどの速度で小さくなろうとはしていません。

 逆に、地理的、経済的な距離が縮まるがゆえに、文化的、制度的な距離を強く感じることすらあるでしょう。より頻繁に異国を訪れるがゆえに、より密度の高い交流を現地の人々とできるがゆえに、お互いの違い、国と国との差異を、逆に強く感じる社会となりつつあります。

 過去には、海外が遠いがゆえに、海外に行ける、海外に住める人間はごく一部でした。海外とのやり取りは、単純に商品を輸入する、商品を輸出するという限定された取引が中心でした。従って、相手の文化やその国の制度を深く理解せずとも、ビジネスやコミュニケーションを行うことは不可能ではありませんでした。

 しかし現代は、世界中の国々がより強く連携、協業して生産活動を行なう時代です。世界各地の人々と交渉し、共に働き、共に苦労し、時には衝突する事で、逆に距離を意識し、それを乗り越えることが必要となりつつあります。

 他国がより近くなったからこそ、そして外国の人々とより密接な関係を築かなければならなくなったからこそ、これまでは見えてこなかった文化的、制度的な距離がより強く意識されるようになりました。

 過去に比較してより明確に、強く地域間に存在する制度的な差異と文化的な差異が意識され、その存在が語られるようになったのは、実はグローバル化が進展したからだとも言えるのです。

図1:CAGE Distances Frameworkが示す、4つの距離
資料:Ghemawat, P. 2001. Distance Still Matters. The Hard Reality of Global Expansion. Harvard Business Review, 79(8): 137-147. より筆者作成

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「なぜ「本当はグローバル化など進んでいない」と言われるのか」の著者

琴坂 将広

琴坂 将広(ことさか・まさひろ)

立命館大学国際経営学科准教授

慶応義塾大学環境情報学部卒業。在学時、小売・ITの領域において3社を起業、4年間にわたり経営。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て英オックスフォード大学で博士号取得(経営研究)。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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