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他人の家のカギを合法的に複製する方法

クラウド化と3Dプリンティングとマイクロものづくりが創る新世界

2014年12月17日(水)

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星新一、鍵、クラウド

 星新一のショートショートに傑作「鍵」がある。この話は、ある男の物語だ。その男は、道端で鍵を拾った。はたして、この鍵は、どの鍵穴にあうものか。男は、その答えを知りたくて、鍵を片手に鍵穴を探す旅に出た。

 男は、鍵穴を見つけては鍵を差し込んだ。どの穴にも鍵ははまらない。しかし、その鍵穴を探すこと自体が、男の人生そのものになった。そして感動的なラストを迎える。

 この短編に出会ったのは私が高校生のときだった。人生は目的があって、それに向かうべきことばかりではない。ときに、その過程自体が愉悦をもたらすものになる。そして、過程そのものが、崇高な人生の目的を超越する、といったあざやかな逆転が描かれていた。

 しかしこの物語が、現代的にこのように書き換えられたらどうだろう。

 「男は、道端で鍵を拾った。男は、スマートフォンで鍵をスキャニングした。スマートフォンは表示した。『この鍵は、GPS座標軸○○○のドア鍵になります。このデータとともに、すぐさま近くの警察署に持参してください。なお、鍵の複製は法律で固く禁じられており、あなたの国民IDとともに鍵の固有IDデータは全国の警察ホストサーバーにすでに転送されています』。男はやれやれ、とため息をついて、警察署へと歩き出した。しかも、落とし主は、男にこういった。『ありがとうございます。ただし、鍵自体は、データをクラウド化しておきましたので、すでに複製しています』。男はその場で、鍵を曲げ、使用不能になったのを見届けてから、近くのゴミ箱に捨てた」。

 まったく夢も希望もない、しかし、ありそうな物語ができあがる。

マイクロものづくり、個人用3Dプリンターの衝撃

 雑誌Wiredの元編集長クリス・アンダーソンは、著書「MAKERS」で新たな時代の到来を告げた。これまで、製造業といえば、大量生産・大量消費の時代だった。しかし、これから、大企業が生産する一律的な商品に満足できなくなった個人は、みずから商品の生産をはじめる。それは、これまでいわれたような「少品種大量生産から、多品種少量生産」への移行にはとどまらない。多品種どころか、一品一品がカスタマイズ生産されるようになる。3Dプリンターと3Dスキャナーといった機器類の価格下落は、その動きに拍車をかける。これまで100万円~数千万円をゆうに超していたそれらの機器が、10万円以下で手に入るようになれば、個々人は創造をはじめる。いつかしらその小さなMAKERSたちは既存の産業構造を破壊するまでに育っていく。

 これら3Dプリンターや3Dスキャナーを購入するほどでもない人もいるだろう。そういう人であっても、たとえばamazon.comでは、「Amazon's 3D Printing Store」なるサービスを開始しているし、いくつもの同種サービスが存在する。また、日本でもDMM.makeがサービスを展開しているし、秋葉原にはDMM.make AKIBAをオープンさせている。

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「他人の家のカギを合法的に複製する方法」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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