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今の日本に一番欠けているのは勇気とスピードだ

第9回:恩師・米倉先生が税所くんを語る(後編)

2014年12月22日(月)

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ソマリランドでの大学院プロジェクトを何とか軌道に乗せた税所篤快さん。現地に乗り込んだ米倉誠一郎・一橋大学教授の全面的な支援があったからだ。メンターとして、前編では「成長していない」(前回はこちら)と一喝された。さて、後編の今回はどうなるのか。

今回、税所さんは米倉先生の力を借りて、未承認国家・ソマリランドでオープンユニバーシティー構想を実行します。ソマリランドのように産業の発展していない国でイノベーションを起こせる人材を育成できれば、成果は非常に大きいですね。

米倉:その通りです。「人をつくる」ことの意味はすごく大きいと思います。

 前に僕がバングラデシュに行った時、こんなことがありました。現地パートナーのマヒンさんの下で働いていたダッカ大学の学生と話をする機会があり、「大学卒業後、どうするんだ?」と聞いてみたのです。彼は「公務員か、銀行員になりたい」と言う。

 そこで僕はちょっと説教した。「君みたいなエリートがジョブシーク(就職活動)していたら、君たちより恵まれない人間はどうするんだ。君たちはジョブクリエイトしなくてはいけない」とね。これは、グラミン銀行創設者のムハマド・ユヌスさんもいつも言っていることでもあります。

 そうしたら彼は偉くて。すごく真面目なヤツなんですけど、税所と同じぐらいバカなのかもしれない。「その通りだ!」とえらく影響された。スイッチという団体をつくって、北部の方に毛布を配ったり、高校生たちに様々な仕事を示したりとボランティア活動を始めました。大学卒業後、今度は文部科学省の奨学金を取って一橋大学に来るんですよ。ソーシャルビジネスを学び、それをバングラデシュに持ち帰ろうというわけです。

メンターである米倉先生の視線は厳しく、そして温かい(写真:鈴木愛子、以下同)

e-Educationの卒業生も、一流の教育を受けた恩恵をビジネスを通して社会に還元してくれるといいですね。そうなると、国を変えることにつながり、税所くんたちの活動がさらに大きな意味を持つようになります。

米倉:e-Educationが映像授業の提供で大学進学を支援するという機能しか持てないのなら、日本発の、新しいスタイルの予備校を現地に持ち込んだだけになってしまい、何も変化は起きませんからね。重要なのは、日本の学生が現地の学生と一緒にe-Educationの活動を進めること。これによって現地の学生が自分たちの国の問題に気付き、解決しようと動く。結果的に国を繁栄させる方向に向かうというのが理想的です。

 一方で、実は日本の若者たち自身も気付きが得られます。他の国のことを言っている場合じゃない、自分たちの国も問題山積じゃないかと。日本でも自分たちの手で新しいビジネスを興したり、地方を再生したり、教育格差を是正したりしなくてはいけない。そうやって社会に還元してこそ、良い教育を受けてきた意味があるとね。

 現地の若者をジョブシーカーからジョブクリエイターに変えるだけでなく、自分たちもジョブシーカーからジョブクリエイターに変わるという循環が起きると、e-Educationの活動はさらに素晴らしいものになりますね。

日本に欠けているのは勇気とスピードだ

e-Educationはプロジェクトを実行する現地の若者だけでなく、日本の若者にも大いに変化をもたらすものになり得ると。

米倉:今の日本に一番欠けているのは勇気とスピードだけど、e-Educationは若者が、これらの足りないものを学ぶ格好の環境を提供していると思います。クロスフィールズ、ティーチフォージャパンなんかもそうですね。これらの組織に入って活動すると、学生たちはぐんと成長する。人が敷いたレールの上に乗って動くのではなく、自分ですべての問題を発見し、解決しなくてはならないからです。つまり、修羅場を経験できるということです。

 e-Educationには少し前まで本部の機能はなくて、「よし、お前、行ってこい」と全面的に担当者に任せてやらせていました。担当者は現地で遭遇する問題を全部自分で解決し、決断しなくてはいけなくて、大変だけど、楽しかったと思いますよ。成果を問われるわけでもないし。渡航費も滞在費も全部自腹で、ひどいものでしたけどね(笑)。

 既存の日本のシステムでは、会社に入ってから、全部、自分で解決したり決断したりすることはほとんどない。分業になっていますから。そうなると修羅場をくぐるという経験はできません。一番良くないのは、人事部、財務部、経営企画部と、いわゆるエリートコースを歩んで社長になるパターン。修羅場を味わう機会がないまま社長になってしまうので、激変する環境の中で肝心要の決断ができません。

そうやって若者を育てるプラットフォームを作ったという意味で、税所くんの貢献は大きいということでしょうか。

米倉:ほめてやってください(笑)。プラットフォームはできたんですよ。本当に。チャレンジしたいっていう若者はまだいっぱいいます。

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「今の日本に一番欠けているのは勇気とスピードだ」の著者

税所 篤快

税所 篤快(さいしょ・あつよし)

「e-Education」創業者

NGO「e-Education」創業者。1989年、東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、英ロンドン大学教育研究所(IOE)修士課程に在籍。同NGOは映像授業を活用しバングラデシュなど17カ国で教育支援を実施している

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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