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「再エネ再接続」政府が検討したこと、しなかったこと

再エネ接続再開に向けた政府方針について(2)

2015年1月8日(木)

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 前回に続いて、再エネ固定価格買取制度に関する政府見直し案を取り上げる。今回は、再エネ推進制度全体の中での位置付けを、ドイツとの比較の中で検証する。

 今回の政府による検討は、準備不足の中で太陽光事業が激増し、それにどう対処するかの応急措置であるはずだった。少需要時期に太陽光等の出力抑制をどの程度行うか、という本来対処療法的なものとなるはずだった。しかし、その限られた範囲の検討ながら、細かく入り組んだ説明の中に、重大な普及阻害要因が潜んでいる。制度の根幹を変えるような、あるいは不十分な制度のまま固定化されるような、危うさを秘めている。

 前回は、「接続可能量」が事実上の再エネ枠となること、無制限無補償の出力抑制制度は致命的な投資阻害要因となることを解説した。今回は、今回の見直し範囲、本来実施すべき推進策を含めた全体推進策を概観する。

系統側の受け入れ体制整備は未検討

 資料は、再エネ推進に係る日本とドイツの政策を比較したものである。日本は、この12月18日に発表された方針に焦点を当てている(赤字の箇所)。項目としては、上からFIT条件の一つである価格決定時期、FIT利用枠の有無、そして系統側の受け入れ体制である運用と増強、需給調整、出力抑制、市場原理導入としている。

資料.再エネ普及に係る日独政策比較
項目 ドイツ 日本(12/18政府方針) 備考(日本・方針関連)
FIT価格決定時期(注1) 発電開始の日 接続申込時(FIT認定時)
→接続契約時
FIT利用枠
*有無 なし(太陽光は設定) 接続可能量という枠、風力枠
追加接続枠発生時に要検討 例:地熱・水力等に配慮
*風・太陽出力の前提 実績値を基にシミュレーション 確率的手法による試算(2σ)
系統運用
*優先性 あり:接続、送電、給電 実質なし 可能量試算上火力運用に配慮
*上下双方向流通 実施 上→下の一方通行の思想強い 規制緩和で限定的に可能
*広域連系線活用 実施 制約多い 中長期的検討の問いかけ
系統増強
*コスト負担 送配電会社 再エネ事業者 中長期的検討の問いかけ
*容量制約理由の拒否 不可 (中長期的検討の問いかけ)
需給調整
*責任者 送配電会社(注2) 一般電気事業者 分離後は送配電会社
*調整手段 Flexibility(注3)活用 火力、揚水、出力抑制 連系線は個別調整分のみ
-市場取引を活用
出力抑制
*優先給電 再エネは最後 優先性なし 中長期的検討の問いかけ
*対象範囲 全体 500Kw以上→全体 今後の受付から(注4)
*抑制基準 なし 30日→360時間(太)、720時間(風) 今後の受付から(注4)
*停止量の補償 補償あり(注2) 30日超は補償→無制限無補償 接続枠超の申請(指定事業者)
市場原理導入:入札制 新事業より
-大規模太陽から段階的に
追加接続枠発生時に要検討 例:非住宅太陽光
  • (注1)赤字は今次資源エネルギ-庁検討項目(12/18発表)、青字は風力の扱いに要留意
  • (注2)需給調整のための介入・出力抑制の順序
  • ①系統運用措置:逆潮流(Negative-Virtical-Load)、給電発電所変更(Redispatch)等、②市場的措置:需給調整契約に 基づく負荷の活用や発電の出力抑制、③在来電源に対する出力抑制(経済補償なし)、④再エネ電源の出力抑制(損失収入の95%補償)
  • (注3)Flexibility:調整電源(火力、水力、原子力等)、蓄電池(揚水等)、連系線、需要家反応、出力抑制等
  • (注4)既存に訴求する追加接続効果は大きいとし、パブコメ如何では既存事業に訴求できるとの含み。

 一見して、系統対策に係る議論は、今回は殆ど行われていないことが分かる。再エネが普及するためには、FITで有利な条件を付して投資を促進することと、物理的接続先である系統側の受け入れ拡大対策の両輪が必要であり、並行して実施されるべきである。今回発表された方針は、需給調整について、かなり詳細に分析し試算しているが、メインは太陽光等の出力抑制対策である。

 以下、項目ごとに簡潔に解説する。

(1)FIT価格決定時期は接続契約時に後ろ倒し

 日本は、現状は、FITの設備認定を受け、系統への接続申込時にFIT価格が決定する。これが、接続契約締結時期に移行する。認定だけ取っておいて機器コスト下落を待ち着手しない等の行為を防ぐもので、その意味において主旨は良である。

 一方、ドイツは、発電開始時である。新エネルギー小委員会においても、発電開始時にするか、接続契約時にするかで議論があった。接続契約後発電開始時までに要する期間が不透明であり、投資・金融判断をしにくいとの批判があった。両者の時間的な乖離が意識されること自体、日本の特殊性と言える。

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「「再エネ再接続」政府が検討したこと、しなかったこと」の著者

山家 公雄

山家 公雄(やまか・きみお)

エネルギー戦略研究所所長

日本政策投資銀行でエネルギー、環境などの融資・調査を担当。2009年からエネルギー戦略研究所で再生可能エネルギ-、スマートグリッドなどを研究。中立的なエネルギー・シンクタンクを心がけている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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