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農をこの手に取りもどせ

「10平米の宇宙」から始まる革命

2015年1月9日(金)

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 「ニッポン農業生き残りのヒント」というタイトルが示すように、この連載は「農業が危機的状況にある」という問題意識から出発した。たしかに高齢農家の引退と耕作放棄の増大というあまりに聞き慣れた危機が進行しているが、では農業を救うのは農家だけの役割だろうか。そんな観点から2015年をスタートしたい。

 今回取り上げるのは、東京湾を目と鼻の先にのぞむ「江東区夢の島区民農園」だ。畑の土の間からところどころ銀色の霜がのぞく寒さのなか、68歳の重田道秋が70年代のフォークソングをイヤホンで聴きながら、京芋を掘っていた。

職人気質の68歳、野菜好きになった子どもたち

職人気質で野菜をつくる重田道秋さん(夢の島区民農園)

 重田はかつて義足をつくる仕事をしていた。部品をパートが組み立てるような最近の義足とは違い、相手の足の形に合わせ手作りで仕上げてきた。野菜づくりを始めたのは約30年前。「病院の先生や患者からいろいろ言われてストレスの多い仕事だった。それで、土をいじりたくなった」。

 仕事は60歳でやめた。いまも毎朝、「仕事に行ってくるよ」と言って家を出るが、向かう先は新たな“職場”の区民農園だ。10平方メートルの小さな区画には京芋のほかに日野蕪や水菜、春菊、ブロッコリーなどの野菜が植わっていた。「ほかの人のやり方を見て盗む。奥深いですよ」。義足をつくっていたときと同じ職人気質で、野菜に向き合う。

 べつの区画では、東京都の職員の男性が3人の子どもを連れて来ていた。「今日の作業は何ですか」「大根とニンジンの収穫」。そんなやりとりをしていると、10歳の息子が手のひらに乗せたコガネムシの幼虫を見せにきた。「最初は怖がっていたけど、いまはすっかり慣れたようです」。5歳の娘はじょうろで熱心に水をまいている。

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「農をこの手に取りもどせ」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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