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徳永英明が切り拓いた驚異のヒット市場とは

NHK「The Covers」制作者に聞く

2015年1月15日(木)

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 今回はカバー現象、すなわちあるアーティストが別のアーティストの楽曲を歌うという現象について考えてみたいと思います。まずは下のグラフを見ていただきましょう。

過去10年間の、5万枚以上売れたアルバムの数(左)とカバー作品の割合(右)(オリコン調べ)

 これは、過去10年間5万枚以上売れたアルバムの数と、そのうちに占めるカバーアルバムの割合を示しています。まず、アルバム数を見ると、05年には1年間に300作近くあったのが、14年には110作と、6割以上も落ちこんでいます。アルバム市場全体では、10年間で4割前後の落ち込みですが、5万枚以上のヒットは、それ以上に減っているということです。ちなみに、シングルの方は、1割弱しか減っていません。これは、イベント参加券付きCDや、ジャケット違いや微妙な収録内容の違いで1つの作品をコアなファンに何枚も買わせるというアイデアが“発明”されたことで、かさ上げされており、これを除けば、やはりシングルのヒットも大きく減少しています。

 ヒット作がこれだけ減少した要因としては、音楽の聞き方や音楽を知る機会となる接触メディアが世代間で分散していることが挙げられます。ダウンロードやサブスクリプションといった音楽配信や動画サイトの影響も大きいでしょう。つまり、1つのアルバム全体でその世界観に浸るのではなく、1曲単位でかいつまんでチェックし、またアルバムを楽しむとしても、歌詞やビジュアルを掲載したブックレットを所有する必要はない人が多いわけです。歌詞から全体のストーリーを追ったり、ビジュアルで世界観を知ったり、時には付属の解説やライナーノーツでアーティストの意図するものをより深く理解したりすることで、感動を育んできたミドル世代の筆者にとっては、ちょっと寂しい気持ちになります。

カバーアルバムのヒット率が示すもの

 そんな中でカバーアルバムのヒット率は05年の2%から14年には10%までと10年間で4倍以上、作品数で見ても倍以上に増えていて、まさに優良コンテンツと言えます。音楽にこだわるリスナーからは、「カバーはしょせん真似事だ」と切り捨てられることもありますが、アルバム市場がこれだけ落ち込んでいる中でヒットが増え続けているというのは、やはりそれなりに需要があるということだし、これをもとに各アーティストが次のオリジナル作の発表やライブ活動をより積極的に行えるようになるのならば、結果的に市場全体の活性化に繋がるし、私自身は大賛成です。

 次に、どんなアーティストがカバーによるヒットを飛ばしてきたのかを見てみます。

5万枚以上ヒットしたカバーアルバムのアーティスト一覧
5万枚以上ヒットしたカバーアルバムのアーティスト一覧(2005年~2014年)
※オリコン年間ランキングで5万枚以上のカバー中心のアルバムを一覧にした。網掛けはカバーアルバムにて注目(または再注目)されたアーティスト。徳永英明や氷川きよしなど大量にチャートインしているアーティストは、略号などで作品を区別した。

 この10年間のカバー市場を見てみると、なんといっても徳永英明が突出しています。05年に第1弾を発売して以来、08年までカバーヒットを継続、直近の10年中7年間でヒットを生み出しており、途中にミドル世代向けのオリジナル(力作!)が2作出ているのですが、過半数がカバーですから「いつもカバーを歌っていた」というイメージを持つ人がいてもおかしくありません。15年1月にも新作「VOCALIST 6」が発売され、これも確実にヒットすることでしょう。

2015年1月21日発売の「VOCALIST 6」。今回も、女性曲のカバーで、70年代の「やさしい悪魔」や「かもめが翔んだ日」から00年代「桜色舞うころ」まで幅広いですが、さらに初回限定版A(左)ではDVD付き、B(右)では10年代の「花は咲く」や「Let It Go」がボーナスで収録されるなど購入施策も抜かりありません。

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「徳永英明が切り拓いた驚異のヒット市場とは」の著者

つのはず誠

つのはず誠(つのはず・まこと)

音楽チャートアナリスト

京都大学大学院理学研究科から三菱化学に入社。97年に趣味を仕事に活かそうと音楽系広告代理店に転職、05年10月に独立しT2U音楽研究所を設立、音楽市場分析、企画CDの監修、選曲、記事執筆を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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