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シンプル&エレガントまで妥協せず洗練を続ける

ジョブズとアイブが共有した、ものづくりの真髄

2015年1月16日(金)

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 デザインとは、見栄えだけを取り繕う「化粧」ではない。ユーザーにどう使われ、どう感じられるかも含めた製品開発である。こう信じてアップルのデザインチームを率い、世界を驚かせ続けたジョナサン・アイブの実際の仕事について紹介しよう。

シャープを驚かせ、デザイン賞を総なめしたデビュー製品

アップルのデザインチームを率いるジョナサン・アイブ

 シャープのエンジニアが驚いていた。今から20年ほど前、1995年前後のことだ。当時、同社はアップル社のPDA、Newton MessagePadシリーズの製造を請け負っていた。その2代目製品となるMessagePad 110に関わったエンジニアがこう言ったのだ。

 「中を見ると、基板が四角形でなくバッテリーを囲むような複雑な形になっていたり、他にも何カ所かもっと簡単にできそうなところをあえて大変な構造にしていたりしてあったんですよ。それでアップルの人に聞いたら、持った時の重量バランスを考えてそうしたって言うんですよね」

 このエンジニアが言うとおり、部品の配置に気を配って重量バランスをよくしたことで、Newton MessagePad 110は実際の重さよりも軽く感じられた。Lindyというコードネームで知られたこのMessagePad 110こそ、ジョナサン・アイブがアップルに入社しての初の仕事だった。

 アイブ入社前につくられていたNewtonの初代製品には、さまざまな課題があった。操作に使うスタイラスペンを側面に収納していたため横幅が広すぎる、液晶カバーがないなどだ。

 これに対してアイブは、伸縮可能なスタイラスペンを本体に差し込んで収納する仕組みや、拡張カードの収納部を飛び越して本体背面に回り込むダブルヒンジ構造の液晶カバーなど、アップルの他のデザイナーでは思いつかないアイデアを次々と出し、これらの課題を解決する。それだけでなく、フタの開閉やペンの伸縮の感触を心地よくすることで、触っているだけで心地よく、ついつい愛着を持って手遊びをしてしまうような製品に仕上げた。このようにキッチリと課題を解決した上で、利用者との関係性まで視野に入れた美しい製品となるまで、妥協せずデザインを洗練させるのがジョナサン・アイブの凄いところだ。

 Lindy開発の背景については、新刊書籍『ジョナサン・アイブー偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』の中で、アイブ自身が詳しく語っている。

 Lindyは工業デザインエクセレンス金賞、iFデザイン賞、ドイツのデザインイノベーション賞、IDデザインレビューのカテゴリー最優秀賞などデザイン関連の賞を総なめにし、サンフランシスコ近代美術館の永久コレクションに収蔵された。

『ジョナサン・アイブ』に掲載されたLindyのプロトタイプ(右)と製品写真

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「シンプル&エレガントまで妥協せず洗練を続ける」の著者

林 信行

林 信行(はやし・のぶゆき)

ジャーナリスト

テクノロジーが人々の暮らしぶりや社会をどう変えるかをテーマに取材をつづけるフリージャーナリスト。国内のテレビ、Web、新聞、雑誌に加え、米英西仏中韓など海外主要媒体でも日本のテクノロジー文化を伝える。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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