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布までデザインするから、長続きする

ミナ ペルホネン デザイナー 皆川 明さん(2)

2015年1月30日(金)

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大量生産と効率だけを求めないオリジナルの布づくり

川島:ここで、さきほどの布地の話、改めてうかがいましょう。言うまでもないことですが、服は布という素材をかたちにしたものです。「ミナ」の服は、すべての布をオリジナルで作っています。ここまで徹底してオリジナルで布を作っているブランドは、実はそう多くありません。皆川さんは、どうしてそこまで布にこだわるのでしょうか。

皆川 明(みながわ・あきら)
ファッションブランド「ミナ ペルホネン」デザイナー
1995年に「minä(2003年よりminä perhonen)」を設立。独自のストーリー性をもつスケッチや絵から始まり、それをもとに織や刺繍やプリントその他、多様な技術を用いてオリジナルデザインのファブリックを作るところから服作りを進める。2006年「毎日ファッション大賞」を受賞。自身のコレクションだけにとどまらず、英国のLIBERTYやスウェーデンのホームテキスタイルブランドKLIPPAN、世界的なテキスタイルメーカーであるデンマークのkvadratなどにデザインを提供している。(写真:大槻純一、以下同)
minä perhonen(ミナ ペルホネン)

1995年にデザイナーの皆川 明により設立されたファッションブランド。オリジナルの図案によるファブリックを作るところから服作りを進める。国内外の生地産地と連携し、素材開発や技術開発にも精力的に取り組む。東京スカイツリー(R)や青森県立美術館、金沢21世紀美術館のユニフォームデザインを手がける他、近年は家具やテーブルウェアなどのインテリアプロダクトや、ステーショナリーなどファッションの領域を越えたデザインプロダクトも発表し、コラボレーションも多数。ブランド名は、フィンランド語で「minä」は「私」、「perhonen」は「ちょうちょ」を意味する言葉。蝶の美しい羽のような図案を軽やかに作っていきたいという願いを込めている。ブランドロゴは、「私(四角)の中のさまざまな個性(粒の集合)」を表す。

2014S/S “choucho”

皆川:僕が「ミナ」を立ち上げたのは1995年、27歳の時のことです。ちょうど世の中は、バブルが崩壊して工場の仕事が減っていた時期でした。だから、たとえ少量でも、まだ無名のデザイナーのために、オリジナルの布を作ってくれる工場があったのです。最初に作ったのは、ほんの20~30メートル程度。ごく少量でした。星のように花が舞う刺繍を施したこの生地で、3着の服を作って展示会を行いました。翌年は、布を5~6種類に増やして、全部で30着くらいというように、少しずつ広げていったのです。

1995S/S “hoshi*hana”

川島:「ミナ」は、織りやプリント、刺繍といった手法を用いて、手作業で描いた精緻な図案を、布を通して繊細に表現し続けています。オリジナルの布の数々は、お店で見て触って、買って身に着けることで愛おしく感じられるものばかりです。過去の蓄積は、どれくらいになるのですか?

皆川:これまでに生み出した図案はざっと710以上、布は2300種類を越えていると思います。

川島:凄い数ですね。

皆川:僕たちが手がける布は、手で描いた図案の思い描いた表情と表現を実現できる手法と場を探し、作り続けてきたものです。ただ、中には作ってくれた工場がなくなってしまったり、機械が止まったりして、再生産が難しい布もあるのですが。

2000S/S “bird”
2006S/S “oasis”
2007-08A/W “fogland”
2014-15A/W “sound”
2015S/S “bow”
当連載から新刊できました!
社長、そのデザインでは売れません!

自動車、家電、IT機器からソフトウェア、飲食サービスまで……。日本から「かっこいい商品」「売れる商品」「素敵な商品」が生まれなくなったのはなぜか?
その理由は、日本の経営者がデザインを経営の中核に置くことを怠ったからだった。
どうすれば、日本の商品が消費者にとって魅力的なものに生まれ変わるのか。伊藤忠ファッションシステムで長年流通業を研究し、ifs未来研究所の所長として、百貨店や老舗和菓子、化粧品などと協業企画を実践する、川島蓉子が、3人の経営者、3人のデザイナー・クリエイターに、「デザインを生み出せる経営のあり方」について訊く。
登場するのは、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブの増田宗昭社長、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長、伊藤忠商事の岡藤正広社長、広告から企業のブランディングまでを手がけるクリエイターの佐藤可士和、アウディのデザインで知られる和田智、アメリカのMITメディアラボの副所長を務める石井裕。
日本が「売れる、愛される、かっこいい」を取り戻すための処方箋。

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「「ダサい社長」が日本をつぶす!」のバックナンバー

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「布までデザインするから、長続きする」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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