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富士山観光(山梨編)の王者、富士急の秘密

「日帰り観光地」からの脱却がカギ

2015年1月29日(木)

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富士急ハイランドの最新アトラクション「富士飛行社」。普段は見られない富士山の絶景を“体感”できる

 2014年9月の本コラムで、静岡県側の富士山観光を取り上げました。世界文化遺産に登録され、圧倒的な存在感を有しながらも、訪日観光の顔になれない富士山の課題と可能性を探りました。今回はやや異なる角度から山梨県側の富士山観光に切り込んでみます。

 同じ富士山という資源を有しながら、山梨は、静岡における富士山の観光開発とは異なる発展を遂げてきました。その違いを生む要因に挙げられるのが、観光資源としての「富士五湖」、そしてその開発を担う「富士急行」の存在です。

 山梨、静岡、神奈川を中心に鉄道やバスなどの運輸事業、遊園地やロープウェイ、遊覧船、ゴルフ場やスキー場、ホテルや温浴施設などのレジャー産業、別荘地などの不動産業を展開する富士急グループ(以下、富士急行)。中でも富士北麓における存在感は圧倒的です。

 JR中央線・大月駅と河口湖駅を結ぶ鉄道「富士急行線」をはじめ、富士五湖と首都圏や関西・九州方面を結ぶ高速バスや観光バス、富士五湖周辺を巡る周遊バスなど、富士北麓の観光の基盤となる交通インフラはほぼ富士急行が担っています。

 レジャー施設では、2013年のテーマパーク・遊園地収入高ランキング(帝国データバンク調べ)で国内第5位となった「富士急ハイランドレジャーサービス」のほか、下の表1に挙げた富士北麓を代表する観光施設はすべて富士急行が運営するものです。どれだけ優れた地域資源を有していても観光の受け皿がなければ、自然景観であれ、歴史文化であれ、ただ眺めて終わるだけ。静岡側の富士山観光がそうであったように観光地としての発展は望めません。もし富士五湖にこれらの施設がなかったら、富士北麓においても静岡側同様、富士山は眺望を愛でるだけの資源になっていたかもしれません。

表1 富士北麓、富士五湖周辺で富士急行が運営する施設(例)

 富士急行は静岡側の富士南麓でも岳南電車やバスの運行、遊園地の「ぐりんぱ」などのレジャー観光施設や別荘地の開発を行っていますが、それらは規模的にも開発モデル的にも施設開発の域を出るものではありません。それに対し、富士五湖は今や国内トップクラスの観光エリアとしてブランドを確立。富士北麓に年間1200万人もの観光入込客をもたらしています(静岡編のデータ参照)。

 それにしても富士山というこの広大なエリアの開発がほぼ富士急行という1つの企業グループによってなされたことは驚くべきことです。しかも、どこを見渡してもそこに競合といえる存在が見当たらないのです。一体、富士急行とはどのような企業なのか。

 今回は静岡とは異なる、山梨での富士山観光の開発モデルを通して、富士山が訪日観光の「顔」になれない理由、富士山観光の課題と可能性について考えます。

コメント3件コメント/レビュー

富士吉田~河口湖に一人旅したことがありますが、富士吉田のレトロな雰囲気は結構好きです。(2015/01/29)

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「富士山観光(山梨編)の王者、富士急の秘密」の著者

水津 陽子

水津 陽子(すいづ・ようこ)

合同会社フォーティR&C代表

経営コンサルタント。合同会社フォーティR&C代表。地域資源を活かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

富士吉田~河口湖に一人旅したことがありますが、富士吉田のレトロな雰囲気は結構好きです。(2015/01/29)

山梨県と言えば、盆地で夏は暑く冬は寒いというイメージ。そして海がないのでグルメのインパクトにも欠ける。もしもそうであればいくら富士山を目の前にしても滞在型リゾートに不適では。昔は富士五湖は軽井沢と並んでテニス合宿が盛んでしたけれど今はどうなのでしょうか。(2015/01/29)

富士山は世界“文化”遺産ですね。観光素材に使いヒトを呼び集めて金儲けしようとするから、自然遺産になれんかった。夜は富士山は見えないから<曇っていても見えないが、『昼は富士、夜は箱根・伊豆』ですでにセッティングできています。(2015/01/29)

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