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日本とドイツ、どこで差がついたのか

ドイツに詳しくなる本

2015年2月2日(月)

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 皆さん、こんにちは。月に1度の読書コラムです。今回のテーマはドイツです。なぜ今回、ドイツを取り上げるのかというと、日本とドイツは似たところが多く、多くのことが学べるような気がするからです。

 戦後、日本とドイツは両国とも、がれきの山から立ち上がりました。しかしよく考えてみると、どちらがより過酷な状況だったかと言われれば、筆者はドイツの方が大変だったと思います。

 日本は米国に占領されただけですが、ドイツは旧ソ連、米国、フランス、連合王国の4カ国に占領されました。さらに、東ドイツと西ドイツ、2つに分断されました。

 それを統一して東ドイツを吸収したのは20年ほど前ですが、巨額の統一コストを負担しなければなりませんでした。がれきの山から再出発したのは同じだったけれど、ドイツの方がはるかに状況が厳しかったのです。

 それにもかかわらず、ドイツの経済は近年絶好調ですし、ユーロという重荷を抱えてはいますが、2015年度の予算は何と財政黒字です。ドイツを旅してみても、日本と比べて貧しい感じは全くありません。先進国として復活し、日本と同じような豊かさを享受しています。

 日本とドイツの米ドル換算でみた名目GDP(国内総生産)は3位と4位で、(計算方法によりインドが間に入るかどうかという問題はあります)日本とドイツのGDPの比率は大体人口に比例しています。ドイツに比べれば、人口は日本の方が多く、面積も日本の方が大きいのです。

「人間には怠惰でいるという権利はない」

 ところが、かたや財政黒字、かたや毎年170~180兆円規模の国債を発行し続けている国です。同じがれきの山から出発したドイツが、財政黒字を達成し、しかもナチスドイツの時代にあれほど無茶なことをしたのに、近隣諸国との関係もきちんとしている。この2点だけでも、日本はドイツから学ぶところがたくさんあるのではないでしょうか。人間は傲慢になるとロクなことがありません。

 もともと日本は、明治維新の時もビスマルク体制下のプロイセン憲法を手本にして、大日本帝国憲法を策定しました。明治維新の時の日本を見習って、今のドイツに学ぶべきことがあるのかないのか、じっくり考えてみましょう。

 まずは、現代から遡ります。

 今日のドイツがあるのは、シュレーダー改革が素晴らしかったからだというのが、衆目のほぼ一致するところです。立派な政治家はポピュリズムに溺れず、国民にとってはいやなことであっても、必要なことは断行するのです。

 シュレーダーは労働の流動化など抜本的な構造改革を断行して政権を失ったわけですが、現在は中興の祖と言われています。シュレーダーがどのような人で、何をやったのかを知るには、この『ドイツ中興の祖 ゲアハルト・シュレーダー』が一番分かりやすいと思います。

 「シュレーダーを猛烈な勉強に駆り立てたのは、『水道も暖房もトイレもなく、八人が寝起きする家から脱出したい』という渇望だった。彼は、他人の二倍も三倍も努力し、働きながら夜間学校に通って知識を身につけることで、泥沼から這い上がることに成功した」(29ページ)

 「シュレーダーが長期失業者にとって厳しい政策を取った背景には、貧困から身を起こした政治家の『泥沼からなんとしても這い上がるという意志さえあれば、不可能なことはない』という確信がある。(中略)彼は自伝の中で、こう語っている。『苦境に陥ったら、まず自分で脱出しようとするべきだ。八方手を尽くしても苦境から逃れられないときだけ、他人の助けを求めるべきだ。人間には怠惰でいるという権利はない』」(30ページ)

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「日本とドイツ、どこで差がついたのか」の著者

出口 治明

出口 治明(でぐち・はるあき)

ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年生まれ。京都大学を卒業後、日本生命保険に入社。同社を退職後、2006年にネットライフ企画設立、代表取締役就任。2008年にライフネット生命保険に社名変更。2013年6月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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