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クロネコヤマトの信書にまつわる闘争史

おそらく現時点で最も詳しいメール便の論争解説

2015年2月2日(月)

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ヤマト運輸メール便廃止の衝撃

 衝撃的なニュースだった。ヤマト運輸は2015年3月をもってメール便を廃止すると発表した。もともと同サービスは1997年にスタートした。カタログ等を届け先のポストに配達する。A4サイズの厚さ1センチメートルが82円、2センチメートルが164円と安価な価格設定により、多くのユーザーを獲得してきた。

 が、ここにきて、その毎年20億冊以上を取り扱うサービスの突然の廃止。多くのメディアで取り上げられ、ネット上でも様々な議論を呼んだ。ヤマト運輸の山内雅喜社長は、会見で「信書」について問題をクリアできなかったと述べた。メール便は信書を扱えないものの、同社が知らぬうちに信書を運ぶ例が頻発し、郵便法違反で書類送検となるケースもあった。利用者のリスクを勘案すると、サービスを廃止する判断にいたったのだという。

 しかし、それにしても、この古くて新しい「信書」問題とは何なのか。そして、その問題の象徴する、クロネコヤマトが闘ってきたものとは何だったのか。私は仕事と、そして個人的興味も重なって、ずっとこの歴史的過程を追ってきた。

冷蔵庫に書いたラブレターは信書なのか

 「冷蔵庫にラブレターを書いた場合、それは信書なのか」「原則として信書です」――。

 2002年6月、ならびに2002年7月に国会で興味深いやりとりがあった。かつ、これは信書をめぐる議論の象徴と考えうる出来事だった。野党議員が、「民間事業者による信書の送達に関する法律案」に関連して、何が信書なのかを質問したのだ。まさか、冷蔵庫にラブレターを書くなど映画でも想像できないものの、副大臣の回答はなんと信書にあたるというのだ。そこには、信書なるものに、おいそれと民間業者を参入させまいとする意図が透けて見える答弁だった。

 信書とは、報道などでは「特定の人に対し自己の意思を表示し、あるいは事実を通知する文章を総称するもの」とされているし、総務省でもそう定義している。では、信書を例示してみるとこうだ。

  • 【信書】
  • はがき
  • 手紙
  • 契約書(納品書や領収書も含む)
  • 通知書(招待状、報告文)
  • 許可書(免許書等)
  • 証明書(印鑑証明書等)
  • ダイレクトメール(しかし、中身に受取人名が記載されていないこと)
  • 【信書ではないもの】
  • 書籍
  • カタログ
  • 小切手
  • プリペイドカード
  • クレジットカード
  • ダイレクトメール(チラシに類するもの)

 信書を読者宅に送るのは、ほとんどが日本郵便だ。それまでは国の独占事業とされていたものの、2003年の信書便法で規定され、許可があれば参入は可能とされている。許可なく送れば配送事業者だけではなく、送り主も罰を受ける。それが、冒頭で紹介した、ヤマト山内社長がいうメール便からの撤退理由だった。

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「クロネコヤマトの信書にまつわる闘争史」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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