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イケアのカタログはアップルのiPadを超えた

知らないとマズい、ビジネス界の紙回帰現象

2015年2月18日(水)

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 イケアがYouTubeにアップロードしたCMが瞬く間に1000万回の視聴数を超えた。それは2015年のイケアのカタログを紹介するもので、あからさまにアップルのiPadをパロディにしていた。イケアはカタログを印刷し、顧客に渡す、いわば「古い」マーケティング手法を継続している。読者の中にも、自宅のポストにイケアの分厚いカタログが投函された経験を持っている人がいるだろう。

 このCMでイケアは、電子書籍ではない純粋な紙のカタログの優位性をふんだんに紹介した。読むのに電池はいらない。寿命は永遠。コンテンツは紙面に印刷されプリインストール(笑)されている。

 「指でめくると、ほら、次のページです!」「ページを戻るのも簡単です!」「画面が出るまでの時間もかかりません!」「ブックマークしたければ、紙の右上を折ってください。ほら、次回もただちにそのページを見つけることができます!」。紙のカタログの凄さを語ったあと、画面には「Experience the power of a bookbook」と表示される。

 なるほど、アップルが発表した元ネタと比較してみれば興味深い。私は、iPad、Kindle、KOBOなどの電子書籍ツールを持っているし、かつては活用していた。しかし、デジタルツールがこれほど普及しても、やはり紙のカタログの便利さは廃れない。イケアのユーモアが一流だったのは間違いない。それとともに、紙回帰ともいうべき流れが、同社のCMをたちまち世界中に瀰漫(びまん)させた。

 イケアのカタログに載る写真のほとんどはCGで作られ、実に全体の75%にいたると報じられた。家具の写真はほとんどなく、私たちはCGを本物と勘違いし続けている。同社にとってカタログはマーケティングの要だ。世界各地へ、カタログと共に進出し、無数のカタログを発行し続けている。かつて人々は「世界でもっとも読まれたのは、聖書とシアーズのカタログだ」といった。おそらく、百貨店であるシアーズの代わりにイケアのカタログになるのだろう。

 それにしても、YouTubeやCGといった、まさにデジタル・ITの代名詞となるものを使い、それを紙という旧メディアで活用しているのは感慨深い。

リアル(紙や実店舗)の逆襲

 さきほど紹介したシアーズは1993年に総合カタログの印刷をやめた。理由は高コストだったからだ。カタログの郵送費もバカにならない。しかもその頃からインターネットが登場し、eメールでの広告もできるようになった。その後、ノートパソコンの軽量化が進んだり、小型タブレットが誕生したり、スマートフォンが席巻したりした。確かに、紙のカタログなんて時代遅れだと思われなくもなかった。

 実際に、アメリカのダイレクトマーケティング協会(the Direct Marketing Association)によると、同国では2007年には196億冊ものカタログが郵送されていたが、2012年には118億冊へと減少した。たった数年で約半減だ。それはシアーズの例で紹介したとおり、コスト高が第一の問題だった。

 しかし、ここに来て紙のメディアを見直す動きが進んでいる。アメリカの調査を見てみよう。これまでずっと減少していたカタログ郵送の復権が注目に値する。近年では、わずかに紙カタログが微増してきた。しかも、eコマースがこれだけ普及しているにもかかわらず、いまだ36%の小売業者が紙カタログを作成しており、これは電子カタログ以上の比率だ。

 面白いのは、多くの消費者が「紙のカタログなんて不要だ」「代わりにメールが良い」という一方で、紙カタログの信奉者がいることだ。消費者の13%は、紙カタログがもっとほしいと願っている。もちろん、そんな熱心なカタログ信奉者以外にも「The power of the printed page」(印刷されたページの威力)はあるらしい。アメリカの研究によると、オンラインで買い物をした31%もの人たちは、その小売業者の紙カタログを持っているという。紙のカタログで購買を刺激され、オンラインで「BUY」ボタンを押す。

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「イケアのカタログはアップルのiPadを超えた」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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