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曽野さん、アジア人同士で住んでも大変です

上海の暮らしで知った衝突することの意義

2015年2月26日(木)

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上海のコリアンタウン

 作家の曽野綾子氏が産経新聞2015年2月11日付朝刊に掲載した「労働力不足と移民」と題するコラムが物議を醸している。

 曽野氏は、介護職などの人手不足を補うために、資格や語学力の条件は緩和しつつ、移民としての法的身分は守るよう制度を作った上で、出稼ぎに来たいという近隣国からの労働移民を認めるべきだと提案。ただ、「外国人を理解するために、居住を共にすることは至難の業だ」とし、「20~30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった」と主張。そう思うに至った理由として、かつて白人だけが住んでいたヨハネスブルグのマンションに、人種差別撤廃後、大家族主義の黒人が住み始め大量の水を使い始めた結果、「間もなくそのマンションはいつでも水栓から水のでない建物になった。それと同時に白人は逃げ出し、住み続けているのは黒人だけになった」というエピソードを挙げた。

 このコラムを受け、南アのモハウ・ペコ駐日大使が2月13日付で「アパルトヘイト(人種隔離)を許容し、美化した」などとして産経新聞に対し抗議文を送付。海外のメディアも相次いでコラムの内容を批判的に報じた。

 このコラムについて曽野氏は、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」のインタビューを受けた。2月17日に放送された内容を私は上海からポッドキャストで聴いた。居住区を法的に分ける方がいいなど考えるはずがないとアパルトヘイト擁護については強く否定。仮に自分がヨハネスブルグに住んでいて、くさやの干物をおみやげにもらったら、近隣を気にせず焼きたいのでアジア人地区に住む方が気楽だというようなことなんだと話していた。ただ一方で、アパルトヘイトの問題点を聞かれ、自分が行った時にはなくなっていて見たことがないのでまったく分からないと答えたり、差別と区別は違うものであり区別はし続けると話していたりしたのが印象に残った。

 私はこの20余年、香港と上海に住んでいるが、基本的にずっと集合住宅暮らしで、しかも1棟の中に住む日本人は自分の家だけという環境にあった。その経験と視点から、曽野氏の言う「労働力不足と移民」という点にフォーカスして、上海の事情を書いてみたい。

日本人エリアでの暮らしは確かにラク

 労働力不足と移民の問題に入る前にまず、私が1990年代に8年住んだ香港と、いま住んでいる上海の外国人の居住エリアについて少し触れる。香港、上海とも、ある一定の国・地域の人が比較的集まって暮らしているというエリアはある。香港は1997年までイギリスの植民地。上海は、19世紀半ばから20世紀半ばにかけて、フランス租界、イギリス租界(後に共同租界)があり、「犬と中国人は入るべからず」と看板が掛けられた公園や、渡るのに外国人は無料だが、中国人からは通行料を徴収したという橋が存在した土地だ。ただ、現在、ある一定の国・地域の人が集まって住むエリアはもちろん、法によって強制的に居住区を決められたものではない。

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「曽野さん、アジア人同士で住んでも大変です」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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