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格差研究だけがピケティ教授の魅力ではありません

『21世紀の資本』を楽しく広げて読むための本

2015年3月2日(月)

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 みなさん、こんにちは。月に一度の読書コラムです。

21世紀の資本』(みすず書房)

 さて、先だっての来日以来、仏パリ経済学校のトマ・ピケティ教授の著書が大ブームになっています。『21世紀の資本』は経済書としては異例のベストセラーとなり、解説本も山のように発行されています。長期にわたる格差の構造を扱った大著ですが、大変読みやすいので、本コラム読者のみなさんは、まずぜひ本物を手に取ってください。

 「まず本物」を勧めるのには理由があります。一般論として、著者本人と解説本を書いている人を比較しますと、著者本人の方が僕は優秀だと思うのです。たとえ本人と同等の能力があっても、本業ではなくいわば片手間に書いているわけですから、精魂込めて書いた著者の本にかなうはずがありません。

 僕は、名著の解説本を書いている人は、極論すれば普通の野球選手がイチローのバッティングを分析するようなものだと思っています。なんであれ本物に勝るものはありません。ブームになっているものを読むことは勉強にもなりますし、ピケティ教授の本は分厚いですがとても読みやすいですので、ぜひ本書を手に取っていただければと思います。

 ところで、「格差を考える」というのが、この本のテーマです。格差については、日本でも昔から様々な問題がありました。ピケティ教授の本を読んだあとは、“日本のピケティ”と言われている橘木俊詔・京都大学名誉教授の『格差社会――何が問題なのか』(岩波新書)をぜひ読んでみてください。僕が尊敬する経済学者の1人です。この本で1度、日本が抱える格差問題について、基本事項をおさらいしてみてはいかがでしょうか。

 ピケティの主張に対する僕の意見ですが、実は、2015年2月12日付の日本経済新聞で阿部彩・国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部長が書かれた内容に同感です。以下、引用します。

 「日本の財政の悪化や社会保障費の今後の増大を考えると、16%の貧困層への給付を拡大するには、富裕層からだけの再分配では十分ではない」

 「『自分以外の誰か』がしかるべき負担をしていないと主張するだけでは、公務員や生活保護の受給者へのねたみから発するバッシングや、どこかに埋蔵金が埋まっているといった希望的観測と変わらない」

 「日本が本当に格差の問題に取り組むのであるのならば、(略、米国のような)「99%vs1%」という対立構図ではなく、16%の貧困層と将来世代を社会全体で支えていくという『社会連帯(Solidarity)』である」

 「成長が格差を縮小させるという仮説は、誰の痛みも伴わずに格差を縮小させることができるので魅力的であるが、ピケティ氏の歴史的研究は、これを否定している。ピケティ氏の議論に賛同するならば、我々は負担の覚悟をすべきである」

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「格差研究だけがピケティ教授の魅力ではありません」の著者

出口 治明

出口 治明(でぐち・はるあき)

ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年生まれ。京都大学を卒業後、日本生命保険に入社。同社を退職後、2006年にネットライフ企画設立、代表取締役就任。2008年にライフネット生命保険に社名変更。2013年6月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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