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万引き犯を顧客にした米国の新ビジネス

2015年3月3日(火)

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 さまざまな新ビジネスがこれまで米国で産声をあげてきた。「ベンチャー」と呼ばれる新興企業が数多く起ち上げられ、大企業に成長していった組織も少なくない。

 今回は、日本ではまだ始められていないが、今後日本でも始められるかもしれない新ビジネスの全体像を記していきたい。

 社名は、米コレクション・エデュケーション(CDC)。ユタ州に本社を置く企業で、日本語に訳すと「更生教育社」になる。罪を犯した人を教育し更生させる業務だ。ただし、更生施設を運営しているわけではない。

 顧客は全米の万引き犯である。どういうことか。

 日本に限らず米国でも食料品店やスーパー、百貨店などは窃盗、つまり万引きに悩まされている。米国での被害総額は年間130億ドル(約1兆5000億円)にも上る。全米小売警備調査(NRSS)によると、年間の万引き犯は約2700万人(推計)に達するという。

 CDCの最高経営責任者(CEO)、ダレル・ハンツマン氏は2010年、この2700万人を顧客にできないかと考えた。

 市場として小さくないばかりか、万引き犯を更生させることができれば一石二鳥との思いがあった。ハーバード大学経営大学院(MBA)で学んだハイツマン氏は、事業内容を練り込む。そして起業。

320ドル払えば放免

 まず小売店で、万引き犯が店員や警備員などによって現行犯逮捕されたところを想像して頂きたい。事務所に連れていかれ、窃盗したかどうかを問われるところまでは万国共通だろう。すぐに罪を認めない犯人も多い。

 CDCと提携している店の社員は、マニュアル通りに「ビジネス」を進める。

 最初に「あなたには2つのオプションがあります。警察に来てもらうのが一つ。別のオプションは、罪を認めて320ドル(約3万8000円)を支払って、オンラインの万引き再犯防止コースを受講することです」と言って、2つの選択肢を与える。

 多くの万引き犯は後者を選択するという。その場合、その場で必要な手続きを済ませれば“無罪放免”となる。そのまま歩いて店を出られるのだ。320ドルで警察から解放されるということである。320ドルはクレジットカードや銀行小切手など確実に決済できる方法で支払われる。これまで犯人の85%がきちんと支払っているという。

 被害を受けたのは店側である。店側は本来、警察に通報することができるし、するべきだ。ただし、実態としては、被害届けを出さずに万引き犯を見逃すこともある。ハイツマン氏はその点に着目した。

 CDCはいま、全米で事業展開する百貨店ブルーミングデールズや自然食品を中心にしたスーパー、ホールフーズ・マーケットなどと契約しており、過去5年で約2万人の万引き犯に320ドルずつを払わせた実績を上げている。

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「万引き犯を顧客にした米国の新ビジネス」の著者

堀田 佳男

堀田 佳男(ほった・よしお)

ジャーナリスト

1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、アメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社勤務後、90年にジャーナリストとして独立。政治、経済、社会問題で取材活動をつづけ、滞米25年後に帰国。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長