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中国の「愛」には「心」がない

北海道ブームの立役者が投げかけた漢字論争

2015年3月16日(月)

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北京市内のバス停の表示と雑誌のポスター。中国大陸で使っている簡体字の「愛」(いずれも左から3文字目)には「心」がない。

 既に様々な形で報じられている通り、2月中旬の旧正月(春節)期間は中国人を中心とする外国人観光客の話でもちきりだった。日本で多くの中国人観光客が温水洗浄便座を購入したことを受けて、中国国内では「便座論争」が起き、3月5日から15日まで開かれた全国人民代表大会(全人代)の場でも話題になった。

 これまで中国人観光客が持ち帰る日本の商品と言えば、炊飯器が代表格だったが、今年はこれに温水洗浄便座が加わった。中国人観光客が増えるにつれて、売れる商品が変化したり、多様化するのは当然だろう。

 日本を訪れる人が増えるのに合わせて、訪れる場所も多様になってきている。以前であれば中国人の日本観光と言えば、東京、富士山、京都・大阪が中心だった。これらに加えて、ここ数年で中国人観光客にとって一気にメジャーな観光地となったのが北海道だ。

北海道旅行ブームを生んだ映画「非誠勿擾」

 その火付け役となったと言われているのが、2008年に中国で公開された映画「非誠勿擾」(フェイチェンウーラオ)である。「狙った恋の落とし方。」との邦題で日本でも上映されたこの作品は、旅行業界の間では中国人の北海道旅行ブームを作った映画としてよく知られている。

 映画の中で、投資に成功した主人公は知り合った客室乗務員ともに釧路や網走といった北海道の道東部を旅する。作品に登場する美しい景色が中国人の心を捉え、北海道を訪れる人が一気に増えたと言われる。中国国内では映画そのものも大ヒットし、2010年には第2弾も作られた。

 訪日客の増加に一役買ったこの映画を監督したのが馮小剛(フォン・シャオガン)氏だ。馮氏は1958年北京市生まれ。中国国内では数多くの映画を撮影し、様々な賞を受けている有名監督だ。現在は全国政治協商会議(全国政協)の委員でもある。

 全国政協の全体会議は全人代と同じ時期に毎年一度開催される中国の重要会議で、中国では全人代と合わせて、2つの会議という意味の「両会」(リャンフイ)という言葉がよく使われる。形の上では国の立法機関で最高権力機関と位置づけられている全人代と違い、全国政協は諮問機関としての意味合いが強い。

 中国共産党員のほか経済や学術、文化芸術、スポーツ、宗教など様々な分野から委員が選ばれ、様々な政策を提案する。ちなみに文化芸術界からはアクションスターのジャッキー・チェン氏や映画監督のチェン・カイコー氏、ノーベル賞作家の莫言(モー・イエン)氏らも名を連ねている。

 この文化芸術界のグループ会合で、馮監督が俳優の張国立(チャン・グオリー)氏とともに出した提案が中国国内で関心を集めている。

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「中国の「愛」には「心」がない」の著者

小平 和良

小平 和良(こだいら・かずよし)

日経ビジネス上海支局長

大学卒業後、通信社などでの勤務を経て2000年に日経BP社入社。自動車業界や金融業界を担当した後、2006年に日本経済新聞社消費産業部に出向。2009年に日経BP社に復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト