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イスラム国に負けたイラク軍が弱かった理由

政権交代に伴い立て直しが進む

2015年3月18日(水)

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 世界中に悪名をとどろかせている過激派組織「イスラム国」。2014年6月に“イスラム国家”の樹立宣言をして以来、イラク、シリア両国で強い勢力を維持し続けている。

 これに対峙するイラク軍はどれほどの力を持っているのだろうか。今後、イスラム国を駆逐できる強さがあるのか。

 イラク軍の兵士数は約25万人と言われている。一方、イスラム国の戦闘員数は複数の調査機関の情報を総合すると、多くて5万人。米中央情報局(CIA)の推測では最大で3万1500人でしかない。

 数の論理から言えばイスラム国が圧倒的に不利である。勢力を拡大することすら困難にも思えるが、現実は違う。14年6月、イスラム国がイラク北部の都市モスルを占拠した時、イスラム国の戦闘員は800~1000人だったに過ぎない。それでも彼らは人口約100万人の都市を陥落させている。イラク軍はモスルに約3万人を配備していた。しかもイラク軍にはタンクや戦闘機、軍用車両、さらには米軍やイランから提供された武器・弾薬があった。それでもモスルは落とされた。

 モスルの南に位置する人口約25万の都市ティクリートも同年6月、イスラム国の侵攻を受けて陥落した。数の論理が働いていないどころか、反比例しているとさえ思えるほどだ。

 昨年、なぜ25万のイラク軍が1000人ほどのイスラム国に負けたのか。取材すると興味深いことが見えてきた。端的に述べると、脆弱性が際立っていたのだ。

 その理由を述べる前に、イスラム国の最高指導者バクダティが14年7月に行った演説の内容を紹介したい。イスラム国が何を目指すかについて語っている。「イスラム教徒よ、自らの国家建設を急ぎなさい。シリアはシリア人のものではないし、イラクもイラク人のものではない。すべてのイスラム教徒のものだ。この信念を貫き通すなら、ローマを征服して世界を手に入れることができるはずだ」。

 ローマまで進軍することを本気で考えているかはわからない。だがバクダディは、東はイランからアフガニスタン、西は北アフリカにおよぶ領域をイスラム国の支配下にする野望を表明している。しかも暴力的に達成するつもりだ。 

イラク軍の主力は士気の低い旧フセイン軍兵士

 イスラム国に攻められモスルが陥落した時、実は多くのイラク軍兵士たちが逃走していた。イスラム国戦闘員が戦う様子を見て、6月以前から逃げ始めていたという。イラク軍は数では上回っていたが、命を賭けてまで国土を死守する気概に欠けていたのだ。兵士としてあるまじき姿である。

 03年のイラク戦争でサダム・フセイン政権が崩壊した後、当時のイラク軍も解体された。行き場を失った兵士たちは、新たに組織されたイラク軍に加わったのだ。

 米ジョージ・メイソン大学ジェームズ・フィフナー教授は実態をこう説明している。「職を失った多数の兵士たちが今のイラク軍に雇われているのです。仕事がないから軍隊に入ったというのが現実。安定した生活を望む彼らの士気は著しく低いですし、兵士としてのモラルにも欠けています」。

コメント1件コメント/レビュー

人に限らず命懸けの窮鼠の状況になれば、恐ろしいほどの威力を発揮することは間違いないでしょう。しかしこのような状況を生じさせずに、人間としての尊厳をもって行動できる社会を望みます。(2015/03/18)

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「イスラム国に負けたイラク軍が弱かった理由」の著者

堀田 佳男

堀田 佳男(ほった・よしお)

ジャーナリスト

1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、アメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社勤務後、90年にジャーナリストとして独立。政治、経済、社会問題で取材活動をつづけ、滞米25年後に帰国。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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人に限らず命懸けの窮鼠の状況になれば、恐ろしいほどの威力を発揮することは間違いないでしょう。しかしこのような状況を生じさせずに、人間としての尊厳をもって行動できる社会を望みます。(2015/03/18)

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