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脱・貧困、足立区で始まった挑戦

「置き去り教育」からの卒業

2015年3月25日(水)

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 「就学援助」という制度があるのを、どれだけの方がご存じだろうか。

 学校教育法第19条では、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」とされている。受給の要件は自治体ごとに違いがあるものの、おおむね生活保護費の基準に近い低所得者を対象に、子供の学用品や通学費などを援助する仕組みだ。

 2012年度、小中学生の就学援助費の受給率は全国で15.64%と過去最高を更新した。1995年の調査開始以来、一貫して増加している。これは、子供を抱えていながら、経済的に困窮している世帯の割合が増えていることを示している。

 都道府県別では大阪府が26.65%と最も高く、静岡県が6.23%と最も小さかった。自治体や地域によって大きな差があるのが実態だ。より小さな行政区分ではさらに差は大きくなる。

足立区は全国平均の2.4倍

 37%。それが東京都足立区の就学援助の認定率だ。全国平均の2.4倍あり、3分の1以上の生徒が同制度を利用していることになる。同区の18歳未満の生活保護受給者数は2013年に3428人で、13年間で約1.5倍に増加。その間、18歳未満の区内人口はほぼ変化しておらず、いかに若年層の経済的困窮が拡大しているかが分かる。

 こうした現状を受け、足立区は4月からの新年度を「子どもの貧困対策元年」と位置付けた。昨年9月に対策本部を立ち上げ、6つの新規事業と3つの拡充事業を新年度予算に組み込んでいる。その中で、最も多くの予算を割いたのが「そだち指導員」という制度の拡充だ。

 「よし、じゃあ行こうか」。

 区立弘道第一小学校のあるクラスで、非常勤講師の女性は1人の男子生徒に声をかけた。担任の教員にも挨拶をして、男子生徒をクラスの外に連れ出す。廊下を歩いて3分ほど。黒板の前に2つだけ生徒用の机が並んだ教室で、その授業は始まった。

 「晴」という漢字を指差した講師が、生徒に尋ねる。「この文字は何と読みますか?」「はれ、と……」と言って詰まる生徒。すかさず講師が片手で漢字の「日」の部分を隠す。「偏を取ると『青』という文字になるでしょう。青と同じように、これはセイとも読みます。快晴のセイね。はい、じゃあ次はこれ」。

 この日の授業は国語だった。音読に始まり、漢字の読みや長文読解など、次々と進む。講師のすべての質問が同じ男子生徒に向けられ、生徒がそれに答える。分からない所があると、その場で考え方も含めて教える。

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「脱・貧困、足立区で始まった挑戦」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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