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熊野古道、「世界遺産の賞味期限=3年」説を覆す

知名度が海外で上がり続ける理由(前編)

2015年3月27日(金)

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熊野古道・中辺路、展望台より聖地、熊野本宮大社、大斎原を抱く紀伊山地を臨む。写真提供:田辺市熊野ツーリズムビューロー

 昨年末、政府が打ち出した地方創生は、人口減少と地域経済縮小の悪循環を「東京一極集中の是正」とそれを支える「地域の特性に応じた地域づくり」によって、社会や経済の好循環をもたらそうとするものです。地域の特性に応じた地域づくりとは、2006年小泉政権下で始まった地域資源を活かした地域ブランドづくり、特産品や観光開発等を指します。

 しかし、どれだけ有望な資源があっても、魅力的な商品の開発やプロモーションはもちろんのこと、それらの「流通の仕組み」をいかに確立するかが最大の課題です。特産品では販路の開拓、観光では「地域での受け入れ態勢の整備」と旅行手配を行う「ランドオペレート機能」が不可欠となります。

 安定した収益が見込める人気観光地であれば、地域には受け皿となる観光業者もあり、大手旅行会社などは競ってパック商品を企画販売します。一方、近年の観光ニーズの多様化に対応し、地域ならではの旅行商品や体験プログラムを提供する「着地型旅行業」はコストに見合った需要やリターンが見込めず、ビジネスとして成立しにくいため、大手旅行会社等は手を出しません。地域の特性に応じた地域づくり、観光開発をするには地域自ら「着地型旅行」を担う事業を起こす必要があります。

 2007年にはこれを推進するため旅行業法が改正され、第三種旅行業で地域限定の企画旅行や手配旅行等を行うことができるなど、旅行業への参入を容易化する規制緩和が行われました。ただ着地型旅行(業に限らず、地域が創意工夫した旅行全体を「着地型観光」という)は言うは易し、行うは難しで、国内で成功している地域は数えるほどしかありません。

 そんな中、国内はもとよりFIT客にも対応した着地型観光システムを確立し、ブームに躍らされることなく、世界的観光地を目指す地域があります。2004年に世界文化遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」。その中でも和歌山県田辺市は、従来の送客システムに依存しない地域独自の旅行システムを確立し、熊野を世界的な観光地へと導いてきました。

 今回は熊野古道を実際に歩き、日本人のみならずFIT客を惹きつける熊野古道の魅力に触れるとともに、田辺市の取り組みから「地域の特性に応じた地域づくり」における最大の課題、着地型旅行を成功に導く秘訣を探ります。

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「熊野古道、「世界遺産の賞味期限=3年」説を覆す」の著者

水津 陽子

水津 陽子(すいづ・ようこ)

合同会社フォーティR&C代表

経営コンサルタント。合同会社フォーティR&C代表。地域資源を活かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員