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奨学金理事長「大学にさえ行けばいいなんて、イリュージョン」

“学生の借金1兆円”が映すこの国の歪み(上)

2015年3月26日(木)

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 日本学生支援機構の奨学金を受ける大学生は、2.6人に1人に膨れ上がっている。年間の貸与額は1兆円を雄に超える。卒業後、返済できずに破産する人も現れ、家計の教育投資はいびつさを増している。是正するためには何が必要なのか。日本学生支援機構の遠藤勝裕理事長に話を聞いた。

事前に厳しめの質問をお送りしていたので、実は取材を受けていただけないのではと思っていました。

遠藤:いや、そんなことはしませんよ。広報担当に私はいつも口を酸っぱくして、マスコミの皆さんから理事長にインタビューしたいと申し込みがあったら、いつでも出ていくと言っているんです。

(写真:陶山勉、以下同)

 最近は特に奨学金の延滞額が増えたりしていることで、いろいろな報道がありますでしょう。この間も九州のほうで、奨学金が返せず自己破産を申請された方がいるようですね。そうしたことから「日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の貸与を受けたら人生の終わり」とでも言わんばかりの報道も、実際に目にします。

奨学金はもはや社会インフラ

 でもね。そういう報道が蔓延してしまうと、「家が貧しいが奨学金を受けて大学へ行きたい」というような人が奨学金を受けなくなり、結局は人材の芽を摘むことになる。我々はそうしたイメージに負けずに、「教育の機会均等」の価値を訴えていかなくてはいけない。意欲があって、能力があって、ただ親の経済力がない。そういう子供たちのための制度であることを、しっかりと伝えていかなくてはと思っています。

日本学生支援機構は、日本最大の奨学金貸与団体です。2014年度の事業費総額は、予算ベースで1兆1745億円。そのほとんどの財源は元をたどれば公的資金です。今、大学生の2.6人に1人がその奨学金を受けている。この現状をどう捉えていらっしゃいますか。

遠藤:具体的な人数でいきますと、毎年、専門学校から大学院まで約140万人が高等教育機関で教育を受けています。新規に毎年、毎年、奨学金の貸与を受ける子たちが45万人ぐらいです。そしてご指摘のとおり、およそ2.6人に1人が私どもの奨学金を受けています。

 これだけ多くの人が奨学金を受けていることを考えれば、これはもはや日本の社会の根底を支える重要なインフラとして位置づけられます。

 逆に言えばそれだけ責任も重くなっているし、社会的に大きな影響力を持ちます。先ほどのような問題は確かにあります。完璧でございますなんて、私はとても言えない。直すべきことはたくさんあります。

返還不要の「給付」が望ましい

課題とはどんなものですか。

遠藤:私はJASSOの理事長ですが、経済同友会にも参加しまして、そこでは一貫して教育関係の活動をしています。リーマンショック後にそこで提言した内容とも重なってしまうんですが、奨学金制度の中で最も変えなくてはならないのは、現在の貸与型から給付型への移行です。経済力の弱い親、その子供たちを救うという観点からすれば、奨学金は給付型こそあるべき姿です。返さなくていいのですから。

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「奨学金理事長「大学にさえ行けばいいなんて、イリュージョン」」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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