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怖くてカワイイ「もふもふの王様」で街おこし!?

潜入!欧州カーニバル都市連盟【前】

2015年3月30日(月)

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(写真:川端裕人、以下同)

ブルガリアでモフモフの嵐

 

 ブルガリアの首都ソフィアから30キロほど離れた、近郊都市ペルニク。
 頬を紅潮させた少年が、 長い獣毛を体から生やした悪霊に扮して舞う。

 腰には大きなベル(鈴)が取り付けられていて、ジャンプするごとに大きな音がする。獣皮と汗の臭いがまじりあい、「男子ロッカー室の臭い」のようなものを周囲にまき散らす。

 「クケリ」と呼ばれる、ブルガリア伝統の仮面祭りだ。新春から春にかけて(時期は地域によって違う)、町を練り歩き、家々を訪ね、無病息災や豊かな収穫を願う。

 仮面のモチーフとなっている悪霊は、何かの生き物を擬したもののようだが、ぱっと見た限り「この世のもの」ではない。子どもならまだしも、大人が同じものを身につけると、それこそ「ベルセルク」の世界から飛びだしてきたトロールやオーグルだ。夜闇の中に佇んでいるのを想像すると、相当、怖い。

 こういった仮面踊りの起源は、紀元前、ここに住んでいたトラキア人のディオニソス信仰にあるという。キリスト教化されてからは表舞台からは去ったものの、2000年以上もの間、常に暗がりの中にひっそりと息づいてきた古き者たちだ。それらが、年に1度、陽の光の下に姿をあらわす。地面に張り付いているのに普段は見えないものが、ふとした瞬間に目に入ってくるというのは、今風に言うならば、拡張現実か。彼らの姿は、「ポータルから吹き出すエキゾチック・マター」なのである(Googleが提供する拡張現実ゲーム、イングレスの話です。念のため)。

 ぼくは、その姿に惹きつけられてやまない。

 異様なルックスは、悪霊としての恐怖を演出すると同じくらい、なにか抱きしめたいような雰囲気をも醸し出している。

 モコモコでフワフワ、ゆえだ。

 モフモフの嵐。キング・オブ・モフモフ。つまり、モフモフの王。日本のネット界隈で、クケリは、おそらくそっち方面で知られている。

 現実に目の前に見ると、汗臭く、男臭く、動きも激しい、体育会系の魔物だ。モフモフを求めて訪ねると、想像以上のワイルドさにしてやられる。

 例えば、かわいい生き物としてペンギンを愛で、生息地まで会いに行ったのに、眼光鋭く猛々しい肉食鳥類としての姿を垣間見てしまった時。うわああっと、驚きと感動がないまぜになったような事態に近い。

 魔物としての恐怖とモフモフな雰囲気のギャップがただでさえ大きいのに、現物を目にすると、予想だにしなかった「野生」の要素を加えてさらに混乱するのだった。

 しかも、それだけでは済まない。
 仮面の悪霊たちが、遠大な野望を抱いていることに、ぼくは気づいてしまった!

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「怖くてカワイイ「もふもふの王様」で街おこし!?」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士