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世界的観光地は目前、「熊野古道」を歩いて分かったこと

知名度が海外で上がり続ける理由(後編)

2015年3月30日(月)

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古道ウォークをサポートする数々の仕掛け

写真左:「熊野古道めぐり地図帳(日・英版)」は古道ウォークで大活躍するアイテム。500mごとに設置された番号標識と照らし合わせると現在位置が分かり、迷う人はほとんどいない。左中:バス停の標識、場所の説明板、スタンプ台。右中:標識の表記はすべて統一されている。右:「ここは熊野古道でありません」にも英語併記

 さて今回、熊野古道をテーマに取り上げるにあたり、外国人も惹きつける熊野古道の魅力とは何かを探るため、実際に熊野古道を歩いてきました。これまで熊野三山に行くことはあっても、古道は入り口あたりをうろうろするだけ、きちんと歩いたことはありませんでした。

 実際に歩くにあたってどの辺りを歩けば良いのか、どのくらいの装備が必要なのか全く知識がないため、ビューローに相談すると、中辺路の中でもアップダウンが少なく、初心者でも歩きやすいと人気の「発心門王子」から「熊野本宮大社」まで約6.9km(所要約3時間)のコースを勧められました。案内人には田辺市熊野本宮館の鳥居泰治館長がついていただけることになりました。

 3月7日土曜日、朝から小雨の降るあいにくの天気ながら、スタート地点の発心門王子に着くと雨は上がりました。発心門王子は王子社の中でも一際位の高い「五躰王子」の1つで、熊野本宮大社の神域の入口とされる場所です。ちなみに王子社とは熊野の神様の御子神(ミコガミ)が祀られているところであり、参詣者の休憩所でもありました。

 まず田辺市が発行しているマップで現在地と、これから歩くコースを確認します。マップには日本語版・英語版があり、それぞれ各区間の歩行距離や標準的な所要時間、標高差、トイレや休憩所、バス停等の位置、500メートルごとに設置されている番号標識などが細かく記されており、はじめて歩く人や外国人でも迷う人はほとんどいないといいます。仮に迷っても500メートルごとに番号がふられた標識まで戻れば、マップと照合して正しい道に戻ることができます。さらに迷いやすい道には「この道は熊野古道ではありません」と英語が併記された看板があります。

 万が一、怪我や病気などで緊急を要する場合も、警察や消防にこの番号を伝えればすぐに場所が分かるシステムが確立されています。前日、ビューローの取り組みを取材した際も感心しきりでしたが、ここまで緻密でシステマティックとは! この日ものっけからスゴイの一言でした。

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、登録資産の総面積が約500ヘクタール、参詣道の総延長は300km超に及びます。その中には今回歩いた中辺路のほか、6つの参詣道があり、一部には整備が遅れている地域もありますが、熊野三山を巡る中辺路においてはこうしたシステムが確立されており、安心して歩くことができます。

写真左:のどかな景色、遠くに見える熊野の山々に心洗われる。中:民家の軒先には日没の時間を知らせる張り紙が。思いやりの心が伝わってくる。右:思わず心が和む木彫りの人形は地域の人たちが飾ったもの

 発心門王子から次の水呑王子までは1.7km、所要時間約30分の行程です。発心門王子社の手前、猪鼻王子から続く道は熊野古道の代名詞ともなっている木の根道でしたが、ここからはしばらく舗装道路の新しい道を行くことになります。とは言えその景観は日本の原風景そのものです。花や緑、素朴な地域の暮らしが見えるのどかな景色、遠くに折り重なって見える熊野の山々はまるで絵のようです。

 通りには、地域の方たちが外から来る人を楽しませ、サポートする取り組みが多数見られます。日没の時間を知らせる張り紙や、無人の市場、手作り看板や休憩所など。「最初は外の人が地域に入ってくることに抵抗があったんですよ。でも、今では来ないと寂しいと言います」。鳥居館長は笑いながら言います。それにしても何とフレンドリーなのでしょう。古くは多くの参詣者を迎えた地域のDNAが今も生きているのでしょうか。

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「世界的観光地は目前、「熊野古道」を歩いて分かったこと」の著者

水津 陽子

水津 陽子(すいづ・ようこ)

合同会社フォーティR&C代表

経営コンサルタント。合同会社フォーティR&C代表。地域資源を活かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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