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スポーツ指導は「少しほめ過ぎ」ぐらいがちょうどいい理由

若者スポーツのコーチ法を覆した社会起業家のメソッド「PCA」とは

2015年4月6日(月)

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2004年アショカフェロー認証を受けたジム・トンプソン(写真=渡邊奈々、以下同)

 中学・高校の運動部における体罰が社会問題になって久しい。スポ根、ど根性を重んじ、しごきまがいの特訓を強いる指導者もいれば、ひたすら勝利を優先する指導者もいる。日本では、スポーツコーチという分野が未成熟なこともあって、学校のスポ―ツ指導は、旧態依然としたままである。

 そんな世界に、彼の方法論が導入されたら、日本の教育界、スポーツ界はどう変わるだろうか。そう思わせる人物がアメリカ西海岸にいる。「勝利」と「人間としての成長」という「ダブル・ゴール」を目指す若者向けスポーツコーチ法のPCA(ポジティブ・コーチング・アライアンス)メソッドの提唱とそれに則したコーチを養成してきたジム・トンプソンだ。

 スポーツ教育に関わる指導者は、本音はともかくとして建前では、「スポーツを通して人間的成長を促すことが肝心で、『勝つこと』は二の次」という。

 しかしPCAメソッドは違う。これは、「勝ちたい」という人間の本性に添いながらも、人格形成を最優先に置き、結果的に試合で勝てるチームを作るという二兎を追う。2014年末時点で、全米で600万人の小中高生がPCA認定コーチの指導を受け、2020年までに2000万人までの拡大を見込む。ジムは、こう語る。

 「PCAメソッドは、『勝つこと』を大いに奨励する。でも、ただ勝つことが究極の目標ではないということも強調するんだ。「勝利」だけを目的とした人生は、味気ない。若者のスポーツは人生の縮図であり、そこで身についた癖や価値観は一生に影響を与える。だから、若者のスポーツコーチは、人の一生を左右する責任ある仕事なんだ」

 とはいえ、PCAがめざすのは単なるコーチ技術の普及にとどまらない。

スポーツ指導は子供を取り巻くシステムの一部

 「僕がやりたかったことは、若者のスポーツコーチングにおける『メンタル・モデル』を変えるということ。過ちを批判し、『試合に勝て』と選手に圧力をかける根性論しか知らなかった人たちの無意識の『思い込み』を変えること」

 「メンタル・モデル」とは、「学習する組織」で知られる組織学者ピーター・センゲの言葉である。センゲは、物事をシステムとしてとらえ、個々の構成要素の相互作用に注目しながら全体を洞察する「システム思考」の提唱者でもあるが、PCAの方法論は、子供たちを取り巻く大きなシステムという視点からスポーツ指導をとらえているところも特徴となる。

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「スポーツ指導は「少しほめ過ぎ」ぐらいがちょうどいい理由」の著者

渡邊 奈々

渡邊 奈々(わたなべ・なな)

アショカ・ジャパン創設者&代表

東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。1980年米ニューヨークで写真家として独立。1987年アメリカンフォトグラファー誌年度賞。2011年10月からアショカ日本支部の代表として運営に携わる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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