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「今の公教育は異常。異常を拡大するな」

“学生の借金1兆円”が映すこの国の歪み(下)

2015年3月30日(月)

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 学生の2.6人に1人が受けるようになり、いびつさが露わになった奨学金。それが示すのは公教育の機能不全と、拡大する金利リスクだ。日本学生支援機構の遠藤勝裕・理事長へのインタビュー後編。(前回記事はこちら

国立大文系の授業料は1980年頃に約18万円。それが2013年には53万5800円とほぼ3倍、私立文系でも約30万円が約73万円と2.4倍になりました。多くの家計が奨学金を当てにしなければならないほどに、教育費は膨張しています。

(写真:陶山勉、以下同)

遠藤:親の世代と費用が大きく変わっています。それを予想して資金計画を立てていればいいですけど、さすがになかなかそうもいかない。今、年収が500万~600万円、もしくは700万円と、平均水準を大きく上回っていても、どの家計も教育費でめちゃくちゃ苦しいですよね。

年収で生活の苦しさは語れない

 というよりも、年収水準では全く測れないわけです。例えば地方で年収400万円と東京で年収500万円なら、物価などが全然違うわけですから、一概には言えませんが500万円の方が恐らく暮らしぶりは貧しいですよね。でも、じゃあ地方に住むのがいいかと言えば、地方は疲弊しているし、そこの親の経済力では、東京の大学に行かせて子供の学費と仕送りを負担するのは大変です。すると、地方の子供から高等教育の機会が失われてしまう。

 高校無償化の議論があった時に、政治家が所得制限で910万円とか、900万円とか言っていましたが、正直言って「何を言っているのだろう」と思いましたよ。この人たちはサラリーマンをやっていないから、こんなことを言うのだと。東京でサラリーマンをやっていたら、900万円だろうが1000万円だろうが、子供を2人抱えていたら大変だと。子供の教育費のためにたばこをやめたなんていう仲間は、私の周りにもいっぱいいますよ。

義務教育や高校でも実際には家計負担が重く、親の所得格差がそのまま子供の学力格差になるということが指摘されています。

遠藤:そうですね。現在、公立小中学校の授業料はタダですね。所得制限がありますが高校も無償化でタダ。ですからそういう意味では、初等、中等教育段階では学校の先生の給料も含めて、かなり国のお金はかけられているのです。義務教育負担で文部科学省の予算は毎年何兆円とあります。

学力は高まっているのか

 ただ大きな問題は、そこでどれだけ子供の学力が高まっているかということです。高校の話になってしまいますが、経済同友会で提言を出した時に高校の教科書も全部チェックしました。久しぶりに読んでみたら、3年間でこれをきっちりと本当に勉強したら、社会にそのまま通用すると思いました。誰でもそう思うと思います。

 つまり学ぶ機会は今、相当程度保障されているんです。なのに、家計は教育にもっとお金を使おうとするわけですね。

 

コメント28件コメント/レビュー

>親の所得格差がそのまま子供の学力格差になるということに関して、親の能力も考慮に入れているかというコメントもあったが、低所得=親の能力の低さではない。母子家庭であればそうでない場合よりも必然的に生活は苦しくなるし、同じ年収の家庭でも子どもの数によって掛けられる金額が変わってくる。>昔と違って今は高卒就職組の受け皿となっていた企業の向上がみんな海外に出てしまっている。この事については私も認識から抜け落ちていたが、そうなのだろうと思わざるを得ない。なのでそれを考慮に入れたとしても、それにしても学生の考える就職先というものが、あまりにも視野の狭いものではないだろうか。その、狭い範囲の就職先を目指しているから大学にも行かなきゃいけないし、その仕事につけない人もより多くなる。もっと職業、職種の多様性と、その価値・誇り、そういったものを家庭でも教育の場でも浸透させて行かないと、自分たちの手で門を無駄に狭くして行っているように見えるし、「とりあえず大学へ」の流れも止まらないと思う。(2015/04/07)

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「「今の公教育は異常。異常を拡大するな」」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>親の所得格差がそのまま子供の学力格差になるということに関して、親の能力も考慮に入れているかというコメントもあったが、低所得=親の能力の低さではない。母子家庭であればそうでない場合よりも必然的に生活は苦しくなるし、同じ年収の家庭でも子どもの数によって掛けられる金額が変わってくる。>昔と違って今は高卒就職組の受け皿となっていた企業の向上がみんな海外に出てしまっている。この事については私も認識から抜け落ちていたが、そうなのだろうと思わざるを得ない。なのでそれを考慮に入れたとしても、それにしても学生の考える就職先というものが、あまりにも視野の狭いものではないだろうか。その、狭い範囲の就職先を目指しているから大学にも行かなきゃいけないし、その仕事につけない人もより多くなる。もっと職業、職種の多様性と、その価値・誇り、そういったものを家庭でも教育の場でも浸透させて行かないと、自分たちの手で門を無駄に狭くして行っているように見えるし、「とりあえず大学へ」の流れも止まらないと思う。(2015/04/07)

>親の所得格差がそのまま子供の学力格差になるということに関して、親の能力も考慮に入れているかというコメントもあったが、低所得=親の能力の低さではない。母子家庭であればそうでない場合よりも必然的に生活は苦しくなるし、同じ年収の家庭でも子どもの数によって掛けられる金額が変わってくる。>昔と違って今は高卒就職組の受け皿となっていた企業の向上がみんな海外に出てしまっている。この事については私も認識から抜け落ちていたが、そうなのだろうと思わざるを得ない。なのでそれを考慮に入れたとしても、それにしても学生の考える就職先というものが、あまりにも視野の狭いものではないだろうか。その、狭い範囲の就職先を目指しているから大学にも行かなきゃいけないし、その仕事につけない人もより多くなる。もっと職業、職種の多様性と、その価値・誇り、そういったものを家庭でも教育の場でも浸透させて行かないと、自分たちの手で門を無駄に狭くして行っているように見えるし、「とりあえず大学へ」の流れも止まらないと思う。(2015/04/07)

高度成長期には借金しても、給料が毎年上がるので、返済は次第に楽になった。デフレに陥って以降、借金しても返済は楽ではない。結婚して子供でも出来れば尚更に返済はきつくなる。このような状況で、「奨学金」は対象者を減らしてでも「返済不要」なものに絞るべきだ。格差が拡大し貧困率の上がり続ける中で、誰もが望めば高等教育を受ける事が出来る社会では無くなってしまったのだから、貧乏でも学力が高く進学も希望する学生に限って返済無用の奨学金を支給し、それ以外の人には進学は諦めてもらうしかない。彼らに奨学金を貸し付けても返済は期待できないのでから仕方がない。そういう世の中を国民がえらんだのだから。私が現役の頃は、「1億総中流」とか言われて、多くの人はマイホームを所有し、車を持ち、数年に1回は海外旅行もエンジョイしたものだ。今の三十代以降の若い世代は結婚しても自力では家を買う事もできない人が多数派になってしまった。安倍政権は金持ちの消費を促進することで、経済の活性化を目論んでいる様だが、「金持ち」の絶対数が少ないから大きな効果は期待できず、単に相続税の上がる金持ちの節税に役立つ程度でしかない。若い世代は三割を超える人達が派遣労働者という不安定な雇用状態で、彼らの「天才」以外の子供達には高等教育は諦めてもらうしかない。自治体であれ財団法人であれ、返済される見込みのない貸し付けは止めるべきだろう。(2015/04/06)

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