• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

アマゾンがメーカーとなり無数の工場を持つ衝撃

果てしなき超音速配送への執念

2015年4月1日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 突然だが、私の知人の話からはじめる。私の知人は一度だけ倒産を経験した。IT企業で勤めていたときに、売り上げ不振から全従業員が解雇され、その会社の社長は夜逃げ同然で消え去った。私の知人は、そのまま成り行きで起業し、七転八倒しながら、なんとか今に至る。

 面白いのは、その知人が、かつての社長に再会したことだ。しかもその再会はテレビ越しだった。知人は、あるときふとテレビをつけた。すると、かつての上司(社長)がインタビューを受けていた。まさか犯罪者としてテレビに出ているのではあるまいな――。それは杞憂だった。それどころか、成功者としてのインタビューだった。元社長は、クレープを屋台で販売する、その単純な商売で優良企業を作り上げていた。さらには今度、アジアに進出するらしい。

 よく昔から粉物は儲かるというけれど、それに屋台が加われば、建屋という固定費がかからない。さらにクレープとなれば原価の割には価格を高くできる。バリっとしたスーツを着て英語を話しながらパワーポイントのスライドをめくる――のが、いわゆる成功したビジネスパーソンのイメージかもしれない。しかし実際は、エプロンをまいて、クルマを運転しながら各所でクレープを売るほうがお金をもたらすようだ。そういえば、某老舗IT企業の役員と面談したときに、「引退したら鉄板焼屋をやる。絶対に効率がいい」とおっしゃていたのが印象的だ。

 「ビジネスの基本は、できるだけ変動費を抑える。ただ、どうしても固定費がかかってしまう。屋台なら、固定費もほとんどかかりません。実を取ろうと思えば、屋台販売は盲点だった」とは、私の知人のコメントだ。

ドローン計画はアマゾン1つのカードにすぎなかったのか

 先日、米連邦航空局(FAA)は米アマゾン・ドット・コムに対して、ドローンのテスト許可を与えた。先立つ2015年2月にFAAは商業ドローン規制案を発表したが、同許可は、この基本方針を受けたものだった(当連載でも伝えた)。これによってアマゾンを含む48社は、商業利用実現化のための屋内テストを開始できる。日中に400フィートより低い高度で、かつ監視者の視界の範囲内ではあるが、FAAとしては、商業利用を目指す各社からの要求に答えた形だ。

 ただし、これまた当連載で述べたとおり、FAAの商業ドローン規制案は、ドローンを実際に商業利用する際には「オペレーターの見える範囲内での飛行とする」「商業ドローンは500フィート(約152メートル)以下を飛行し、時速最高スピードは100マイル(約161キロ)で日中飛行とする」など、アマゾンや他社の思惑を外した条件を課していた。アマゾンはFAAの許可した内容を、既に時代遅れだ(already obsolete)と語り、既に海外でテストを実施しているから、同社はドローン実験の次なるステージに進んでいると述べた。FAAにしてみれば安全性の問題やプライバシーの問題もあり、全面的に許可するわけにはいかなかっただろう。

 アマゾンは、ドローンの使用を諦めたわけではない。ドローンの使用は、アマゾンプライムエアーというサービスで、注文後約30分で届けると喧伝したものだった。ただ、このドローン使用は、同社にとってあくまで1つのカードであり、そのほかにも消費者へ爆速で届ける施策を推進し続けている。

コメント1件コメント/レビュー

ドローン配達も3Dプリンタートラックも、話題づくりのアマゾンの戦略に過ぎないことを割り引いて論じた方が良いでしょう。技術的可能性だけでいうならば、無人ドローンを常時空中に待機させ(レーザーで非接触給電することにより無限に飛び続けられる)搭載した3Dプリンターで商品をプリントしながら注文主の家まで飛び、空中から出来立ての商品を落下させることだって、「出来る」と言う事は可能だ。これと同じで、ドローン配達も、トラック生産も、出来ることはできるだろうが、それが十分に対価に見合う商品を提供できるサービスとして成立するかどうかは全く別問題だろう。ジェフベソスが偉大なのは、夢の一端をあたかも現実のように見せることができる点だろう。すでに実現して「稼働している」サービスの新しさ・豊富さと、実現するかどうかわからないアイディアとは分けたうえで、アマゾンを評価すべきだ。(2015/04/01)

「目覚めよサプライチェーン」のバックナンバー

一覧

「アマゾンがメーカーとなり無数の工場を持つ衝撃」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ドローン配達も3Dプリンタートラックも、話題づくりのアマゾンの戦略に過ぎないことを割り引いて論じた方が良いでしょう。技術的可能性だけでいうならば、無人ドローンを常時空中に待機させ(レーザーで非接触給電することにより無限に飛び続けられる)搭載した3Dプリンターで商品をプリントしながら注文主の家まで飛び、空中から出来立ての商品を落下させることだって、「出来る」と言う事は可能だ。これと同じで、ドローン配達も、トラック生産も、出来ることはできるだろうが、それが十分に対価に見合う商品を提供できるサービスとして成立するかどうかは全く別問題だろう。ジェフベソスが偉大なのは、夢の一端をあたかも現実のように見せることができる点だろう。すでに実現して「稼働している」サービスの新しさ・豊富さと、実現するかどうかわからないアイディアとは分けたうえで、アマゾンを評価すべきだ。(2015/04/01)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授