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「無料低額宿泊所」を知っていますか

福祉はどこまで高められるか

2015年4月1日(水)

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 「無料低額宿泊所」という福祉施設がある。行き場のない生活困窮者の生活を安定させるものだが、「貧困ビジネス」と批判されることもある。

 日経ビジネス3月23日号の特集「2000万人の貧困」では書ききれなかった、この施設の現状について紹介する。

 「無料低額宿泊所」という施設があるのを、ご存じだろうか。2010年の調査で、全国に488施設あり、約1万5000人が入所している施設だ。

 社会福祉法に規定されているもので「生計困難者のために、無料又は低額な料金で簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他施設を利用させる事業」とされている。1万5000人のうち、1万4000人近くが生活保護の受給者だ。

 運営には届け出が必要だが、これのほかに届け出がなかったり、社会福祉各法に位置づけのない「法定外施設」もあったりする。こちらは実態がなかなか正確に把握できないが、生活保護受給者の住所などから各自治体が把握しているものだけで、2010年に約1万6000人が入所していた。

困窮者の受け皿の1つ

 生活保護の受給に、原則として持ち家は認められていない。資産価値が低いと認められる場合は家に住み続けながら受給できるケースもあるが、「まずは家を売ったお金で生活を」と求められることもある。そういった場合、生活保護の受給者はまず自分の定宿を確保することが必要になる。

膨張する「安全網」のコスト
●生活保護費の年次推移
出所:厚生労働省(2013、2014年度は予算ベース)

 通常の賃貸アパートなどのほかに、そうした困窮者の受け皿となるのが無料低額宿泊所だ。

 この話は、ある1人の男性の物語から始めたい。初めに断っておくがこの男性が語る内容が、無料低額宿泊所の実情すべてではない。だが、事実としてこうしたことが起きているということをまずはご認識いただきたいと思う。

子供に断られた支援

 その男性は65歳。生活保護で生活しており、今は一般のアパートに移ったが、10年以上にわたり、首都圏の無料低額宿泊所を転々としてきた。健康食品を販売する会社の営業職などで働いていたが、50代である日突然、目が覚めると顔の筋肉が全く動かなくなっていた。医者には「自律神経の病気」と言われ、3カ月入院した。入院費を払うことができず、「福祉」の世話になることになった。

コメント27件コメント/レビュー

「もっと劣悪な環境で働いて稼いでいる人もいる」「だから生活保護受給者は甘えている」とか「支給額をもっと下げるべき」というような、劣悪環境の競い合い・福祉条件切り下げ合いのような、弱者が弱者をたたくような議論はもうやめませんか。 生活保護のレベルが刑務所に劣るのであれば、生活保護の水準を上げるべきだし、働いているのに生活保護よりも貧困なのであれば、賃金を上げるべきでしょう。 その原資は幸運にも並みのレベルの生活ができている国民からの税をあてるのが筋というものです。 貧困を増えれば、犯罪が増え治安が悪化します。公衆衛生状況も悪くなります。 結果、それに対応するために社会コストは、増税分よりも多くなります。 割れ窓理論と同じです。 高所得者を否定はしませんが、国民生活の最低水準は一定以上にしておかなければ、結局は社会コストに跳ね返るのです。(2017/09/19 13:12)

「2000万人の貧困」のバックナンバー

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「「無料低額宿泊所」を知っていますか」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「もっと劣悪な環境で働いて稼いでいる人もいる」「だから生活保護受給者は甘えている」とか「支給額をもっと下げるべき」というような、劣悪環境の競い合い・福祉条件切り下げ合いのような、弱者が弱者をたたくような議論はもうやめませんか。 生活保護のレベルが刑務所に劣るのであれば、生活保護の水準を上げるべきだし、働いているのに生活保護よりも貧困なのであれば、賃金を上げるべきでしょう。 その原資は幸運にも並みのレベルの生活ができている国民からの税をあてるのが筋というものです。 貧困を増えれば、犯罪が増え治安が悪化します。公衆衛生状況も悪くなります。 結果、それに対応するために社会コストは、増税分よりも多くなります。 割れ窓理論と同じです。 高所得者を否定はしませんが、国民生活の最低水準は一定以上にしておかなければ、結局は社会コストに跳ね返るのです。(2017/09/19 13:12)

まず、子供と良好な関係があればこの方は貧困層に陥る事は無かった筈です。本心は別として親戚・家族とコミュニケーションを一生懸命取る家庭は多いですよ。人間関係を軽視したら、助けて貰えないのは当然です。

また、「自律神経の病気」が転落の契機らしいですが、それまで十分な保険も貯金もしていなかったんですよね。苦しい生活の中、そう言う方面に家計を使っている家庭は多いです。

健康な時にしかるべきことを想定して備えていなかった事は、残念ながら自業自得です。それまでその負担を背負ってこなかったのですから、他の人と差が出るのは当然です。冷たいようですが。

個別の話はそれまでとして、最後に刑務所の問題ですが、単純に懲役を厳しくしたらいいと思うんですけどね。人権問題的に難しいんでしょうか。正直、入所が苦しくない刑務所入りなんて、ただの衣食住付きの別荘扱いとなって論外でしょうに。(2017/09/19 11:04)

自分が生活保護に頼らざるを得なくなったとき、どのような支援を望むか。
保護費、居住環境、福祉事務所職員らの対応・・
一つ一つ考えてみていただきたい。(2017/01/20 14:38)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長