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すべての元・大学生が読むべき7冊

大学について、ラジカルに考える

2015年4月13日(月)

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 みなさん、こんにちは。今月の読書コラムです。新学期・新年度を迎えて早くも2週間が経ち、そろそろみなさんの緊張も緩んできたところでしょうか。今回は、国際競争力などの文脈でも何かと話題になっている「大学」や「大学教育」について考える本を紹介します。

 さて、では改めて、大学とは、一体何でしょうか? 西暦988年に設立された現存する世界最古のアル・アズハル大学の3原則(入学随時、出欠随意、修業年限なし)は余りにも有名ですね。

 最近は、エリートと一芸と職業訓練校という3つのカテゴリーに分ける議論や「アカデミックなG型大学と、職業訓練型のL型大学に分ける」、といったアイデアなどが話題になったりしています。背景には、苅谷剛彦・英オックスフォード大学教授が指摘するように、大学が大衆化したこと、そして大学教育が本当に「成果」を上げているのかという投資効果に、社会が大きな関心を示すようになったことがあるのでしょう。

 一方で政府は法律を改正して、学長の人事権を強めて教授会から人事権を取り上げるなど、一般的にはあまり大きく話題にならないところから改革を進めています。

 教育が大事、ということについて異論を唱える識者はいませんが、目の前の変化に振り回され、長期的な視点を見失った議論が展開されているような気もします。そもそも大学とは何か、大学教育とは何なのか?どうあるべきか?を深く掘り下げて議論しているようには思えません。

 そこで、最近読んで一番面白かった大学論をご紹介します。吉見俊哉さんの『大学とは何か』(岩波新書)と天野郁夫さんの『大学の誕生』(上)、(下)の2冊です。

大学とは何か』(岩波新書)

 『大学とは何か』では、中世ヨーロッパ以降、欧州で大学が発展してきた背景を克明に解説しています。そもそも、中世の大学は、教師と外国人学生の合意に基づく任意団体として法学、医学、教養諸学などの講座がスタートし、やがて学位授与が始まり、国家が経営を担うようになった歴史があるのです。ちなみにパリ大学の起源は、教会の制度だったとされています。人事において教授会の自治を重んじてきた歴史なども、この本を読めばすっきりと腹落ちすることでしょう。

 『大学とは何か』でそもそもの歴史をたどった後は、『大学の誕生』上下巻で、日本の大学の歴史をおさらいしましょう。東京大学が設立されたのは1877年(明治10年)、いわゆる帝国大学が誕生したのは1886年です。興味深い史実を以下に少しだけ引用します。


明治の日本の大学は、外国人教師が教える専門学校

大学の誕生〈上〉』(中公新書)

 「(明治10年頃の)東京大学の実態は依然として、外国人教師が外国語で教授する『洋語学校』、つまり『学制』の規定からすれば『専門学校』であり、また医学部として東京大学の一部になったとはいえ、旧東京医学校の管理運営もこれまでどおりで、何の変化もなかった」「帝国大学成立以前の時代は、まさに『専門学校』の時代だったのである」

 「外国人教師を招いて外国語で専門教育を行う機関を設置するのは、いってみれば日本の国内に小型の欧米大学や、専門学校を誘致・開設するようなものである」「欧米諸国への留学生の選抜・派遣とそれによる教員養成は、政府にとって、また東京大学を含むこの時期のすべての高等教育機関にとって、最重要の課題であった」

 この2冊は、大学のあり方について本質的な議論を展開しているので、大変参考になると思います。

コメント3件コメント/レビュー

結論が英語というのは何かのジョークなのだろうか?引用している文章で言えば、「有能で賢明な人間に育て上げれば、後は自分自身の力で英語くらい使えるようになる」だろう。本質的に必要なのは思考力であって、英語は道具に過ぎない。道具は、使い勝手が最優先である。言語は、まず思考をまとめるためにあるのだから、その使い勝手は何よりも思考のまとめやすさが評価対象になる。そして、日本人が学術思考をする際に適切なのは日本語である。日本語で学術上の思考ができるよう、言語上の土台が十分整備されているからだ。以上の理由により、日本の大学にふさわしい言語は日本語である。仮に外国人を迎え入れるなら、必要なのは外国人が日本語を使えるように教育する場の方だろう。少しでもものを考えたことがあれば、言語なしでは思考ができなくなることくらい理解できると思うのだが。まあ、日本の科学レベルを落としたいというなら筋は通っているが。筆者は明治がどうと言うが、その明治期の賢人たちがなぜ諸々の学術言語を日本語化するために精魂を傾けたのか、多少なりとも想像するところから始めることを薦めたい。(三諸)(2015/04/13)

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「すべての元・大学生が読むべき7冊」の著者

出口 治明

出口 治明(でぐち・はるあき)

ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年生まれ。京都大学を卒業後、日本生命保険に入社。同社を退職後、2006年にネットライフ企画設立、代表取締役就任。2008年にライフネット生命保険に社名変更。2013年6月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

結論が英語というのは何かのジョークなのだろうか?引用している文章で言えば、「有能で賢明な人間に育て上げれば、後は自分自身の力で英語くらい使えるようになる」だろう。本質的に必要なのは思考力であって、英語は道具に過ぎない。道具は、使い勝手が最優先である。言語は、まず思考をまとめるためにあるのだから、その使い勝手は何よりも思考のまとめやすさが評価対象になる。そして、日本人が学術思考をする際に適切なのは日本語である。日本語で学術上の思考ができるよう、言語上の土台が十分整備されているからだ。以上の理由により、日本の大学にふさわしい言語は日本語である。仮に外国人を迎え入れるなら、必要なのは外国人が日本語を使えるように教育する場の方だろう。少しでもものを考えたことがあれば、言語なしでは思考ができなくなることくらい理解できると思うのだが。まあ、日本の科学レベルを落としたいというなら筋は通っているが。筆者は明治がどうと言うが、その明治期の賢人たちがなぜ諸々の学術言語を日本語化するために精魂を傾けたのか、多少なりとも想像するところから始めることを薦めたい。(三諸)(2015/04/13)

大学だけ秋入学というのは、日本の一般人を切り捨てることになる。小学校から、秋入学にすれば、学制のどの段階でも、いろいろな経験ができるし、夏休みが交流機会として有効に使える。甲子園大会など、国内限定のガラパゴス・イベントは運営しにくくなるかもしれないが。今の満足をとって将来を捨てるか、今の満足を運営の仕方を変えて将来への道につなげるか、だろう。大学改革と同様のことではある。(2015/04/13)

世界の中の日本という観点で見ると無理もないと思います。今や日本語人口は減りつつあります。オンライン無料大学講座のEdxやcourceraにしても日本語で受けられる授業は殆ど無いのではないでしょうか。では、日本の大学で英語による授業をした場合はどうでしょうか、日本の市場が英語を第二の母国語として受け入れない限り効果は限定的だと思います。日本語が出来なければ殆どの日本企業で働けませんから。優秀な人材は外へ出ていくでしょう。日本の閉鎖的な封建社会も一層この問題に拍車をかけていると思います。(2015/04/13)

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三品 和広 神戸大学教授