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「3.11」の教訓を風化させるな

時代遅れの原子力・石炭依存、再エネ・ガスは「残り物」扱い

2015年4月10日(金)

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 一体、日本のエネルギー政策はどこに向かうのか。世界の動きと真逆の方向に飛んで行ってしまいそうだ。最近、資源エネルギー庁の各委員会で提示している案を見ると、そうした思いを禁じ得ない。今回は、エネルギーミックスについて検証する。

 政府は、エネルギー政策の策定を進めている。エネルギーミックスを議論する委員会、その下部組織として各電源のコストを評価する委員会、電力システム改革を具現化するための委員会、再生可能エネルギー(再エネ)電力の固定価格買い取り制度(FIT)といった再エネの課題と解決策を議論する委員会などが関わる。特に、今年に入ってから、集中的に議論が進められており、徐々に政府事務局の考え方が表に出てきている。概して、基本的な考え方が、「3.11東日本大震災」前の前提に戻ってしまっている。

(1)「3.11」後の電力システム改革の思想

 3.11で、深刻な原子力発電所事故が発生。関東や東北地方の大規模発電所は軒並み運転が止まり、長時間に及ぶ大規模停電を引き起こした。その反省に立ち、エネルギー政策を白紙から見直すこととなった。原子力を根幹とするエネルギーミックスの見直しや、電力小売りの完全自由化が打ち出された。

 しかし、電源構成比率の目標を掲げるだけでは、エネルギーミックスや自由化は実現しない。電力システムの基本的な構造を変える必要がある。先行する欧米では、「構造改革」「アンバンドリング(発送電分離)」と称されており、日本では「電力システム改革」と名づけられた。その根幹を成すのは、「発送電分離」だ。9つのブロックに分かれた地域間で、電力を融通しやすくすることが重要になる。電力の小売りは2016年から完全自由化されることが決まり、発送電分離は2020年から開始する方針が固まっている。

大規模集中システムの限界

 改めて、3.11後の議論を振り返ってみよう。従来の電力システムは、大規模発電所が電力の需要地から離れた所に集中して立地。発電所から需要地に電力を長距離で輸送するシステムが、9つのブロックに分かれて存在している。ブロックごとにシステムが完結し、ブロック間で電力を融通する連系容量が小さい。各地域で電力会社1社による独占状態が続いてきた。この状態では、個々に過剰な設備を持つ一方で大災害に対して脆弱であり、全体として非効率になる。3.11後、このシステムを早急に改革する必要がある、と結論づけていた。

 これは、3.11という特殊要因だけによるものではない。電力小売りの自由化や電力システムの構造改革で先行する欧米でも、地域間で電力を送る連系線を増強し、電力のネットワークを広げることが、セキュリティー(電力の安定供給)の確保や、再エネ普及のために最善の選択肢とされている。限りある国内の資源や設備を有効活用するのは、当然出てくる発想である。

再エネ、省エネ、コジェネで従来型システムの脆弱性補う

 従来の電力システムに頼っている限りは、省エネや再エネ、コジェネレーションシステム(熱電併給システム)などが活躍する分散型システムが育ちにくい。3.11以降、原子力への依存度を低下させることは世論となり、エネルギー基本計画にも明示された。原子力を代替する電源として、“国産”でCO2を出さない再エネが脚光を浴びる。原子力は“准国産”とされ、しかも「CO2フリー」であることから、燃料をほぼ100%輸入に頼り、CO2を大量に排出する火力では本質的に代替できない。

 一方で、省エネにも注目が集まる。ここへきて技術開発が進んでいるうえ、地域に依存する再エネと違って需要家の意思さえあればどこでも導入できる。再エネと省エネが、分散型システムを構築する基本要素となる。「大規模・集中・長距離」の従来型システムの脆弱性を補うために、「小規模・分散・短距離」の分散型システムを併設し、柔軟なシステムを構築することが重要になる。

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「「3.11」の教訓を風化させるな」の著者

山家 公雄

山家 公雄(やまか・きみお)

エネルギー戦略研究所所長

日本政策投資銀行でエネルギー、環境などの融資・調査を担当。2009年からエネルギー戦略研究所で再生可能エネルギ-、スマートグリッドなどを研究。中立的なエネルギー・シンクタンクを心がけている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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