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米国人にとって抗うつ剤はキャンディも同然?――日常化する服用

2015年4月15日(水)

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 米国人の今や10人に1人が抗うつ剤を服用している―。

 服用者3000万人という数字を、医学誌『予防(プリベンション)』もニューヨークタイムズ紙も取り上げており、あながち誇張ではない(米国の人口は約3億1500万人)。3000万人は1998年の服用者の4倍に当たる。米国は「うつ病大国」と言って差し支えないようにも思える。米国には、うつ症状を抱える人がこれほど多いのだろうか。しかも40代と50代の女性に限定すると、実に4人に1人が抗うつ剤を飲んでいるという。

 英文の医学誌『臨床精神医学誌(Journal of Clinical Psychiatry)』の最新号は、米国では近年、抗うつ剤が使用され過ぎていると指摘している。加えて、抗うつ剤を服用する人の実に69%は、うつ病とは診断された人ではないと結論づけている。

うつ病の症状とは

 それではなぜ全米の医師たちは3000万もの人たちに抗うつ剤を処方しているのだろうか。その理由を探る前に、同医学誌が指摘する抗うつ剤を必要とする患者の症状を記したい。以下に挙げる症状のうち、5つ以上が2週間以上続いている人をうつ病と診断している――ふさぎ込む感情、活動的なことへの無関心、食事量の増減、不眠か過眠、行動の鈍化、無気力、疲労、意思決定が困難、過剰な罪の意識、自殺願望。

 米国で処方されている抗うつ剤にはプロザック、セレクサ、パキシル、ゾロフト(いずれも商品名)などがある。特にプロザックは88年に認可されて以来ハッピードラッグと呼ばれるほど「人気」がある。うつ症状が和らぐとの評判から、認可から10年ほどの間に1000万人が服用した。

 こうした抗うつ剤は医学的には「選択的セトロニン再取り込み阻害剤(SSRI)」と呼ばれている。神経伝達物質であるセトロニンの脳内濃度を高めてうつ症状を改善させる作用があり、多幸感をもたらす。ただ下痢、疲労、体重の増減、発疹、頭痛、神経痛などの副作用があるし、自殺を誘発するという報告もある。

内科医やファミリードクターが安易に処方

 米ABCテレビが、こんな患者さんを取り上げた。マサチューセッツ州に住む60代のポール・レトーノーさんという男性だ。両親が他界、愛犬の死などによって気分がふさぐ日が続き、抗うつ剤を服用するようになった。

 数種類の抗うつ剤を同時に服用したため自殺願望が強くなり、2年間で4度も自殺未遂を繰り返した。入院後、体に合った抗うつ剤が処方され、現在は精神的に安定しているという。

 トレーノーさんが本当に数種類の抗うつ剤が必要だったかは分からない。だが、深刻な副作用があることは服用前に理解しておくべきだった。

 抗うつ剤は薬局の棚から自分で手に取ることはできない。だが、それでも服用者が増えている。それは神経科でなく、一般内科でも処方してくれるからだ。ここに抗うつ剤が多用されている秘密がある。

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「米国人にとって抗うつ剤はキャンディも同然?――日常化する服用」の著者

堀田 佳男

堀田 佳男(ほった・よしお)

ジャーナリスト

1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、アメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社勤務後、90年にジャーナリストとして独立。政治、経済、社会問題で取材活動をつづけ、滞米25年後に帰国。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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