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韓国の気分は「もう、中立」

THAADで中国が仕掛け返した罠にはまる朴槿恵

2015年4月16日(木)

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 米国に守ってもらいながら、中国の言う通りに動く韓国。気分は「もう、中立」だ。

「3NO」でTHAAD先送り

終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)の在韓米軍への配備の協議が先送りになりました。

鈴置:「韓国が米国の言うことを聞くのか、中国の言うことを聞くのか」で注目を集めていた問題です(「日米の同時『格下げ宣言』に慌てる韓国」参照)。

 米韓は4月10日にソウルで開いた両国の国防相会談の後「THAADの問題は話し合われなかった」と発表しました。

 聯合ニュースの「韓米国防長官共同記者会見……THAADは論議しなかった」(4月10日、韓国語)によると、「米国はTHAADを配備する考えはあるのか。あるとしたらいつ頃、結論を出すのか」との問いにカーター(Ashton B. Carter)米国防長官は以下のように答えました。

  • THAADは本日の議題に含まれていない。理由は、まだ生産段階にあるためだ。配備の場所に関する論議もまだしていない。時期についても生産の進行状況により決定が下されるだろう。そしてこれに関連し、訓練と配備の可能性が議論されることになる。全世界の誰ともまだ、配備問題を論議する段階ではない。

星取表の判定を変更

 3月11日に青瓦台(大統領府)は「THAAD配備に関する3NO」を宣言しました。米国から要請されたこともないし、協議したことも、結論もない――から「3NO」なのです。

 はっきり言えば、韓国はTHAADに関する米国との協議を拒否したのです。さらに今回の米韓国防相会談でも、建前だけでしょうけれどそれを貫いた。だからカーター国防長官も「議題に含まれていない」と答えざるを得なかったのです。

これで韓国は中国の怒りを避けられましたね。

鈴置:ええ。中国は「配備を認めれば、戦略武器――核兵器の攻撃対象にするぞ」などと脅していました(「『核攻撃の対象』と中国に脅される朴槿恵」参照)。確かに当分の間は、韓国は脅されにくくなるでしょう。

 これまで「早読み 深読み 朝鮮半島」に載せてきた「米中星取表」。THAADの項目では「まだ完全には勝負がついていない」との判断から「―」の印を付けてきました。

 しかし「3NO」と言い出すほどに韓国が露骨に「離米従中」――同盟国たる米国の意向を無視し、中国の指令に従うようになった以上、THAADの項目は「米国が劣勢」と判断して「▼」に、中国は「優勢の△」に判定を変えることにしました。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか
(○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年4月15日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権
の行使容認
2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の
MDへの参加
中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への
THAAD配備
青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習
の中断
中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの
正式参加(注1)
正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの
反米宣言支持
2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの
加盟 (注2)
米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。
(注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。
(注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。
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「三面楚歌」にようやく気づいた韓国

中国に従いながら、米国との関係も維持を…
「二股外交」の策を弄し続けてきた韓国。
しかし気づけば、日本、北朝鮮、そして米国にもそっぽを向かれる「三面楚歌」に。
いよいよ中国の手のひらで踊るしかない状況に「従中」か「米陣営に戻る」か「中立化」か国論は分裂、焦燥感と閉塞感が社会を覆う。
揺れる韓国が招く北東アジアの流動化、新たな勢力図と日本の取るべき進路を、読み切る。

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「韓国の気分は「もう、中立」」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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