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ハーバードはなぜ「福島第二」の事例を教えるのか

ランジェイ・グラティ教授に聞く(2)

2015年4月24日(金)

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ランジェイ・グラティ(Ranjay Gulati)
ハーバードビジネススクール教授。専門は経営管理。同校にて組織行動部門長を務め、主にエグゼクティブプログラム(Advanced Management Program)にて教鞭をとる。近年は、不測の事態にも対応できるリーダーシップと戦略について研究を進めている。フォード、GE,日立製作所、本田技研工業、IBM、マイクロソフトなど世界的大企業のコンサルタントとして活躍。共著書に「Leading Sustainable Change: An Organizational Perspective」(Oxford University Press, 2015) 「Management, Preliminary Edition」 (Cengage Learning 2012). 最新の寄稿論文に「How Other Fukushima Plant Survived」(そのとき、福島第二原発で何があったか) (Harvard Business Review, July-August 2014) がある。

 2014年夏、福島第二原子力発電所についての論文「そのとき、福島第二原発で何があったか」をハーバード・ビジネス・レビュー誌に寄稿し、話題を集めたのが、ランジェイ・グラティ教授だ。

 論文は、2011年3月11日の東日本大震災発生から3月15日の冷却システムの復旧まで、福島第二原発で何が起きていたのかを再現したドキュメント。限られた情報、限られた人員、そして限られた資材・・・。世の中が福島第一原子力発電所で起きた事故の行方を見守る中、10キロ離れた福島第二原発でも、メルトダウンを食い止めるための戦いが繰り広げられていた。

 福島第二原発では、地震と津波の影響で、4基ある原子炉のうち、3基が冷却機能を喪失。原発事故を防ぐ3原則は「止める」「冷やす」「閉じ込める」。「止める」ことには成功したが、すぐに冷却しなくてはならない。ところが、「冷やす」ために残されたのは非常用ディーゼル発電機一台と外部からの電力線一回線のみ。冷却できなければ、メルトダウン、放射能漏れ、という最悪の状況に陥る恐れがある。

 増田尚宏所長(当時)と400人の作業員は、絶えず目の前の現実が変化する中、作業の優先順位を確認しながら、何とか電源ケーブルを敷設することに成功し、3月15日午前7時15分、1号機から4号機のすべての冷温停止を達成。それは原子炉内の最大圧力が基準値を超えると予測されていた、わずか2時間前のことだった。

 「これは、危機的状況をリーダーとチームの力で乗り切った素晴らしい事例だ」

 ランジェイ・グラティ教授は、そう確信し、論文を執筆することにした。アメリカ原子力規制委員会のチャールズ・カスト氏の協力も得ながら、東京電力の増田尚宏氏らへのインタビュー、公的な報告書等をもとに徹底的に調査をすすめ、地震発生からの5日間を詳細に再現。なぜ惨事を食い止めることができたかを、組織行動の専門家の観点から分析している。

 この論文は大きな反響を呼び、現在、この事例は、ハーバードビジネススクールのエグゼクティブ講座で教えられている。

 なぜ教授は福島第一原発ではなく、第二原発に注目したのか。なぜこの事例をあえてハーバードで教えるのか。ランジェイ・グラティ教授に聞いた。

(2015年4月2日、電話インタビュー)

前回から読む)

コメント2件コメント/レビュー

福島第2は”運良く”全電源喪失しなかった、から、リーダーシップを発揮できて冷温停止ができたが、”全電源喪失した福島第1はメルトダウン”した、と理解すれば良いのでしょうか。すると、少なくとも今後原発は、全電源を喪失させない、あるいは全電源喪失しても自力で冷温停止できる設計にしないかぎり、再稼働させずに撤去するべき。川内原発とかたとえ噴火を察知して人が避難できたとしても、その後の火砕流に襲われて電源喪失しないのか心配です。(2015/04/24)

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「ハーバードはなぜ「福島第二」の事例を教えるのか」の著者

佐藤 智恵

佐藤 智恵(さとう・ちえ)

作家/コラムニスト/コンサルタント

1992年東京大学教養学部卒。NHKにて番組ディレクターを務めた後、2000年1月米コロンビア大学経営大学院留学、翌年5月MBA取得。ボストンコンサルティング、外資系テレビ局などを経て2012年独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

福島第2は”運良く”全電源喪失しなかった、から、リーダーシップを発揮できて冷温停止ができたが、”全電源喪失した福島第1はメルトダウン”した、と理解すれば良いのでしょうか。すると、少なくとも今後原発は、全電源を喪失させない、あるいは全電源喪失しても自力で冷温停止できる設計にしないかぎり、再稼働させずに撤去するべき。川内原発とかたとえ噴火を察知して人が避難できたとしても、その後の火砕流に襲われて電源喪失しないのか心配です。(2015/04/24)

センスメーキングと言う言葉や重要性を口に出したことが無くても、自分に都合の悪い事実を隠したり取り繕ってうそを言ったりすれば後で必ずその報いを受けると言う事ぐらい誰でも幼いころから経験として身に着けているはずなのだが、人の前に立つとそんなことすら忘れてしまう人が少なくないのはどうしたことだろう。その(心理的?脳科学的?)メカニズムに興味がある。行動は普段の習慣によって形作られるそうだが、いざと言うとき「やらかしてしまう」人は普段からそうした思考・行動をとっているから肝心な時もそういった言動をしてしまうわけで、企業内で昇進してリーダーになるためには、人として好ましくない言動を少なからず働いて地位を勝ち取らねばならず、そうしてきた人はいざリーダーとしての働きが求められたときにはふさわしい行動がとれないと言う矛盾が起きていると言う事だろうか。これはリーダーの行動の問題であると同時に人事評価・登用の仕組みの問題でもあるように見える。(2015/04/24)

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