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外国人に家事を任せれば、働く女性が増える?!

香港で見た「外国人家政婦」の光と陰(上)

2015年5月13日(水)

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 「外国人の家事労働者を特区で受け入れる」ことが4月に閣議決定され、今国会で通る見込みだ。その目的は「働く女性の支援」のためだという。外国から家事労働者を迎えれば、働く女性が増えるって本当だろうか?

 確かに海外に事例はある。欧米、中東、そしてアジアでは香港、シンガポール、台湾などで、数多くの外国人家事労働者が働いている。はたして日本でも、女性が働くなら、家事・育児は外国人にお願いするのが当たり前という時代がくるのだろうか。家事育児の助っ人が得られれば、生活はどう変わるのか。アジアでの受け入れ先進国・香港で、共働きの日本人家庭を取材した。3回シリーズの1回目は、実際に外国人ヘルパーを雇う日本人家庭の実態と、その背景にある施策を紹介しよう。

香港郊外にある緑豊かな住宅街ディスカバリー・ベイ。学校、ショッピング街、レストランも揃っている(左)。大城さん一家が住む、ディスカバリーベイのマンション群(右)

 香港の中心部から1時間弱、外国人世帯が多く住む緑豊かな住宅地ディスカバリー・ベイにある高層マンション。大城なつみさん(40歳)が夜8時過ぎに、「ただいま」と自宅のドアを開けると、夕食もお風呂も終えたパジャマ姿の3人の息子が「ママ、おかえりなさい」と出迎えた。用意された夕食を手早く済ませれば、あとは8歳、6歳、2歳の息子とお喋りを楽しんでから寝かしつけるだけだ。

 香港で祖父の代からのカバン製造販売会社を経営する大城さんにとって、子育てのパートナーといえば、住み込み家政婦であるフィリピン人のピンキーさん(39歳)。なつみさん自身は、朝6時過ぎに起きて、長男、次男の弁当を作り、学校に送ってから出勤。朝昼晩の食事のメニュー作りから料理、そして掃除洗濯、日中の子どもの世話はピンキーさんに頼んでいる。ただし食材にはこだわりたいので、買いものは自分でするという。夫は中国に単身赴任しており、週末は帰宅して息子たちと一緒にスポーツで汗を流すものの、平日の家事育児の支援は望めない。

 長男が生まれた直後は子連れ出勤をしていたが、職場のパソコンの電源を消してしまうといったいたずらもあり、「もう限界だ」と外国人ヘルパーを雇うことにした。今のヘルパーは3人目で、相性のいい人に出会えてからは精神的にも、肉体的にもゆとりができて「子どもを怒ることもなくなった」。ヘルパーの休みは日曜のみ、土曜日も掃除洗濯、料理を任せることができるので、時間に追われることなく、子供とゆったり過ごすことができる。週末、自宅に迎えてくれたなつみさんはリラックスした表情で、気持ちに余裕のある生活ぶりがうかがえた。

週末くつろぐ大城さん一家。中国に単身赴任中の夫が帰り、にぎやかになる(右上)。大城なつみさん(中央)とフィリピン人ヘルパー。2歳の三男はやはりママが大好き(左)

子どもとの時間も、自分の時間も一気に増える

 日本でワーキングマザーといえば、会社勤めに家事育児とフル稼働して時間に追われているイメージだ。実際に、東京で3人の子どもを育てながらフルタイム勤務をした経験があり、現在は香港に住む別のワーキングマザー(49歳)は、香港でヘルパーを頼むようになり「子どもと向き合う時間が一気に増えた」と言う。

 東京で子育てしていた頃は、子どもを電動自転車の前と後ろに乗せて別々の保育園に送り迎え。シーツを替える週明けの朝など保育園への送りだけで1時間もかかってしまい、会社に遅刻しそうになったこともある。お迎えをして急いで帰宅してから夕食の準備をしようにも、幼い子どもが足にまとわりついてままならない。週末は山のような洗濯物で洗濯機を8回は回し、もうヘトヘトだった。

 香港に引っ越してからは在宅ワークと外での仕事が半々くらいだが、朝7時から夜8時まで週6日、フィリピン人ヘルパーの助けを借りる。思い切って三食の料理も洗濯もヘルパーに任せている。ヘルパーが夕食を作る間、帰宅した子どもとゆっくり会話できるのが嬉しいという。

 時には、仕事が一段落したところで、平日のんびりSPAでマッサージを受けることもあれば、カフェで一休みすることもある。子どもとの時間だけではなく、自分ひとりの時間も確実に増えた。日本で子育てをしていた時には、考えられなかったほど精神的にも、体力的にもゆとりが持てるようになったという。

コメント12件コメント/レビュー

自治体のファミリーサポートの援助会員(有償ボランティア)さんより安い値段(労働基準法の最低賃金未満、大阪では最低賃金が時給860円程度で、援助会員さんの時給が800円)でなければ、一般家庭では雇わないのではないでしょうか。
「国民生活基礎調査の概況(2014年版)」では女性の57%は非正規雇用だそうです。わたしもこどもが保育所待機組だったときにファミサポを利用していましたが、自分の時給の80%を家事代行に投資するのは、苦しいものです。
労働力が不足しているのは、フルタイムで働いても家族を養えない賃金の業種でのことでしょう。また、女性が外で働けないのは家事を外注して外勤しても家計にプラスにならないからでしょう。
日本人にだって最低賃金が保証されていない業界も多い現況を鑑みれば、円高と日本人の最低賃金とは別枠の外国人賃金を用意しなければ労使が満足する雇用は不可能だろうと感じます。そしてその「別枠」こそが、日本人感覚では失礼を感じて行えないことなんだと思います。(2016/02/13 23:19)

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「外国人に家事を任せれば、働く女性が増える?!」の著者

野村浩子

野村浩子(のむら・ひろこ)

ジャーナリスト・淑徳大学教授

日経ホーム出版社(現日経BP社)で「日経WOMAN」編集長、女性リーダー向け雑誌「日経EW」編集長などを歴任。日本経済新聞社・編集委員などを経て、2014年4月から、淑徳大学人文学部表現学科長・教授。財政制度等審議会委員など政府審議会委員も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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自治体のファミリーサポートの援助会員(有償ボランティア)さんより安い値段(労働基準法の最低賃金未満、大阪では最低賃金が時給860円程度で、援助会員さんの時給が800円)でなければ、一般家庭では雇わないのではないでしょうか。
「国民生活基礎調査の概況(2014年版)」では女性の57%は非正規雇用だそうです。わたしもこどもが保育所待機組だったときにファミサポを利用していましたが、自分の時給の80%を家事代行に投資するのは、苦しいものです。
労働力が不足しているのは、フルタイムで働いても家族を養えない賃金の業種でのことでしょう。また、女性が外で働けないのは家事を外注して外勤しても家計にプラスにならないからでしょう。
日本人にだって最低賃金が保証されていない業界も多い現況を鑑みれば、円高と日本人の最低賃金とは別枠の外国人賃金を用意しなければ労使が満足する雇用は不可能だろうと感じます。そしてその「別枠」こそが、日本人感覚では失礼を感じて行えないことなんだと思います。(2016/02/13 23:19)

上場企業管理職、海外勤務経験、2児(小・高)あり、です。長男を海外で出産、0歳のうちに帰国し、職場復帰しばらくして、週5日、保育園(送りのみ夫)+シッターさん、で回し、シッターさんの終電までに何とか帰宅、という日常でした。これに加え、週1回、掃除だけフィリピンの女性に来てもらっていました(個人的に洗濯は任せない。任せている人も多い)。シッターさんは、お迎えから平日の料理・入浴補助・寝かしつけまで、お掃除は週1回、でしたが、どちらも信頼できる方だったので、仕事の突発事項で右往左往した復帰直後の状況から解放され、本当に精神的に救われました。ピークで年400万かかった費用は必要経費と割り切りました。そう、400万です。しかもこれは、直雇用のフィリピンの方の時給が日本人シッター会社への支払の6割だったからですが、今回の特区制度になって会社組織にでもされると、お掃除の価格も跳ね上がります(余談ながら、シッターさんの「手取り」は、フィリピンの方の2/3しかありませんでした)。一般職にこの価格がはらえるでしょうか。「使いやすい価格」という表現に目くじらを立てる方もおられますが、それは香港でも同じです。(2015/05/13)

香港在住で共働き、子供二人の日本人です。やっぱりフィリピン人お手伝いさんを雇っています。いろいろ細かい摩擦はあるのですが(狭い家の中に他人が住み込みでいるのはちょっと奇妙な感覚)全体的にみれば、お手伝いさんの存在にたいへん、たいへん助けられています。有難い。ただ、まあ、これはこちらの記事とは直接関係ない話ですが、ここ何年かの香港の出生率は実は日本よりもさらに低いです。日本人からみれば、お手伝いさんが安く雇えて羨ましい限りの環境なのですが、「じゃあ子供をつくりましょう」という風には香港は全然なっていないのが不思議。何故なのかな。シンガポールも同様だと聞きます。次はこのへんを掘り下げた記事を、筆者さんにはお願いしたいです。(2015/05/13)

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井上 礼之 ダイキン工業会長