米大統領選が面白くなりそうだ。
というのも、民主党ヒラリー・クリントン前国務長官(以下ヒラリー)の対抗馬として、共和党から女性候補が出馬することが確実視されているからだ。
米ウォールストリート・ジャーナルは4月23日、コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)で最高経営責任者(CEO)を務めたカーリー・フィオリーナ氏(以下フィオリーナ)が5月4日に出馬表明すると伝えた。来年11月の本選挙でヒラリー対フィオリーナという女性同士の戦いが見られるかもしれない。
経済問題に関するフィオリーナの見識は高く、ヒラリーは太刀打ちできないとの評がある。大統領選では必ずと言っていいほど、経済問題が大きな争点になる。フィオリーナはHPのトップにいた6年間で、年間売上高を450億ドル(約5兆4000億円)から900億ドル(約10兆800億円)に押し上げた実績を持つ。経済政策ではヒラリーに負けないとの自信をのぞかせており、「言葉だけでなく結果で示せるのは私だけ」と米メディアに強気のコメントをした。
最初に予備選(党員集会)が行われる中西部アイオワ州で共和党政治委員を務めるクレイグ・ロビンソンは、フィオリーナへの期待を英ガーディアン紙にこう述べている。「ヒラリーを倒すにあたって、彼女ほど攻撃的な候補はいないでしょう。共和党の男性候補は女性からの支持が低い傾向がありますが、彼女ならば女性票も取り込めます」。
フィオリーナは4月中旬、予備選におけるもう1つの重要州であるニューハンプシャー州に飛んだ。いくつもの都市を回って共和党関係者や地元の財界人と会合を持った。アッシュランドという町で出会った党の重鎮が次のようにつぶやいている。「参加者は本当に興奮していた。この町で開かれた政治集会で、これほど多くの参加者が盛り上がったことはかつてなかった」。
少なくとも共和党の中にフィオリーナ待望論があることは間違いなさそうだ。有能でリーダーシップのある女性という点で、十分にヒラリーに対抗できる候補である。
米AT&T、ヒューレットパッカードで要職を歴任
それではフィオリーナとはいったいどういう人物なのか。経歴を振り返りたい。
テキサス州オースチンで1954年に生まれたフィオリーナは、父親が大学の法学部教授、母親が画家という家庭に育つ。大学はスタンフォード大学に進学し、哲学と中世史を学んだ。卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)法律大学院に進んだ。ただし、入学後半年でドロップアウトしている。
そこから彼女の転職人生がスタートする。まず不動産会社に受付嬢として入社。半年、受付業務を経験したあと、同社で不動産売買を行うようになる。その後一転し、イタリアに渡って英語教師になった。米国に戻るとメリーランド大学経営大学院に進学してMBA(経営学修士)を取得。直後に通信大手の米AT&Tに就職した。ここでも幹部社員としてではなく、訓練社員の1人としてスタートしている。1980年のことだ。
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