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住民投票間近 大阪都構想は、大都市から始める国の再生戦略だ

「政令市」という巨大で非効率な「業界」にメス

2015年5月11日(月)

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5月17日、大阪都構想の是非をめぐり、大阪市民による住民投票が実施される。この結果は、大阪にとどまらず全国の大都市に影響を及ぼす可能性がある。ではそもそも、大阪都構想は何を目指しているのか。

 大阪は日本第2の都市であり、西日本の首都ともいわれる存在だ。ところがこの40年ほどの間に衰退し、生活保護受給率でも犯罪発生率でも全国ワーストワンに堕ちた。市役所も府庁も事実上財政破たんし、全国のお荷物と化してしまった。

 大阪の衰退の原因は、産業構造の転換の遅れや新幹線によるストロー現象などいろいろある。しかし90年代に府と市が無駄な二重投資を繰り返したこと、府と市が対立し、協力して事業を行わないこと(松井・橋下体制でようやく是正)、そして市役所に自ら改革する能力がないこと(後述する)が大きい。

「政令指定都市業界」の解体が始まる

 都構想が目指す大阪市役所の分割と民営化、そして大阪都への再編は、大阪のローカルな事件にとどまらない。「国鉄」、「郵政」に次いで全国に20もある「政令指定都市」という巨大で非効率な公共事業体が“分割民営化”される大改革の始まりを意味する。

 国鉄も郵政も戦後しばらくは全国一律型の公社形態で立派に機能した。だが巨大な公社の形態では小回りが利かず、技術革新と民間との競争についていけない。また公社は議会のチェックを受けるがゆえに必ず政治利権の対象となり(不採算路線の建設など)、同時に政治力をバックに労組も経営に介入する。かくして国鉄も郵政も自律的な経営改革ができずに最後は政府の手で分割、民営化された。次は、大阪を皮切りに全国の政令指定都市が同じ運命をたどるのではないか。

都構想と大都市制度の見直しは政府の方針

 それゆえ、大阪都構想への賛否を問う5月17日の大阪市民211万人の住民投票の結果は、わが国の未来をも大きく左右すると、筆者は確信している。

 「維新の党が勢力を増して憲法改正につながる?」「政界再編につながる?」という政局与太話ではない(それも否定はしないが主題ではない)。これからの日本の存亡を決める大都市のあり方が、この日で決まる。だから要注目なのだ。

 なお、今回の住民投票については「議論が足りない。尚早だ」とか「橋下徹大阪市長の大衆扇動だ」と批判する向きがある。しかし、大阪都構想は2010年1月、つまり5年以上も前に提唱され、その後の2度の統一地方選挙、府知事選、市長選の争点とされた。加えて維新の会は2回の衆議院選挙と1回の参議院選挙でもその意義を住民に説明してきた。

 大阪からの要請に応じて、政府と既存政党も動いてきた。総務省は長らく大都市制度の改訂をしてこなかったが、2012年には人口200万人以上の大都市について政令指定都市制度を離脱して特別区制度に移行するための手続き法(「大都市地域における特別区の設置に関する法律」)を制定した。

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「住民投票間近 大阪都構想は、大都市から始める国の再生戦略だ」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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